投稿

アラビアの美味い魚ランキング

イメージ
   世間ではなんでもかんでもランク付けするのが大好き。テレビでも「今週の第一位は!と番組を盛り上げています。(そこで中断しCMが入りイライラさせるのが定番ですが)ここアラブの地でも、どれが一番かの会話に事欠きません.今まではアラビアの不味い魚を掲載してきましたが、今回は当地で一番美味い魚のランキングの議論です。   クウェイト人が言います。  「サウジではHamoor (はた)を有難がっているが、何と言っても Zobaidy  (まながつお)が一番だな」 「Zobaidy? 何だあれは魚肉が柔らかすぎる。フライにする時も銀色の皮が剥けて料理をしにくいよ、 Hamoor もうまいが、オレは Safy  (あいご)が一番だと思う。」 と、けなされたサウジ人が口を尖らして反論します。 「俺の母国では Bassi  (いとより)だと思うな」と、レバノン人。別名スルタン・イブラヒムと呼ばれ地中海料理でも一般的です。 「・・・して、日本人は何が好きなんだね?」 「ウーン、 Kathag (いか) Bugum (ふぐ)なんかがザ・ベストだよ」  それを聞いてアラブ人一同、唖然として信じられないといった顔つきです。うに、なまこなども食べると知ったらどんな顔をするのでしょうか?あわてた私は「いや、日本では Hamoor (はた)は高級魚で、とても人気がある魚だよ」と弁解しました。  実際、ある駐在員が休暇で日本から持ち帰ったうなぎのかば焼き(真空パック)を税関では、これは何だ、日本人はへびを食うのかと言われたそうです。  🐟  アラブでは赤身の魚は見向きもされないようです。 だから、ランクの上位に占めるのは白身の魚です。 まぐろ、かつおなどがマーケットで売られているのは、東洋人や西欧人などの外国人向けであると思います。 われわれが珍重する「いか」も私がサウジで暮らしていた当時の1990年ごろからマーケットに並ぶようになりましたが。 彼らは Sheiry (ふえふきだい)などの釣りの餌に使うためで、口にはしないようです。    上で述べたことはアラブの友人たちとの雑談中の事ですから、個人的見解があると思いますが、実際にはサウジアラビアのアラビア湾(ペルシャ湾)に面した東海岸の魚の水揚げ量の第1位から10位は・・・。 単位:Ton  サ...

釣り人の天敵を食べてみたらー チョー不味いペルシャ湾の魚:そのー4

イメージ
   アッやられた!アジ釣りの最中、海面にたむろして虎視眈々と獲物を狙っているダツが何匹も突進してきます。ここはサウジアラビアの海、当地では手に入らないアジさびき仕掛けがおもりごと取られてしまいました。腹が立つの、なんのって・・・コンニャロ! 次の休暇まで4か月、当地のスポーツショップでは釣り道具はろくなものはないので日本で買ってくるより他に手立てはありません。おもりは自動車の古いプラグで何とかしのいでも手持ちのさびき仕掛けは残り少なくなっています。まったく釣り人泣かせのダツ野郎、 皆で退治することにしました。  なにしろ、1メートルもあるダツ、ギザギザの牙がならぶ猛禽のくちばしのような口、長い青黒い胴体には耳のようなひれがついています。見るからに獰猛なヤツ、人に好かれる要素はどこにもありません。ダツは学術的には ダツ 目ダツ科です。 ところがサンマも ダツ 目サンマ科とは・・・釣り人の天敵のダツ野郎と一緒にされるとは、美味しい日本のサンマがかわいそうに思えてきます。 学名   :Tylosurus choram (Ruppell) 1837 英語名   :Needle Fish アラビア語名 : Hagool 日本類似種   :ダツ  ハタ( アラビア語:ハムール )の手釣り仕掛けにウレタンフォームの浮子をつけ、小あじを1匹つけて海面のダツの鼻先にたらしてやると躊躇なく飛びついてきます。かならず餌に対して直角に食いついてパクパクと角度を変えて呑みこむ姿がユーモラスです。 タイミングを見計らって、エイヤ!と引き上げます。 何本も釣れあがったダツ、これは釣りというより虐殺です。これじゃあ魚がかわいそうだ。釣り師の面目をたてるため、友人のAさんは何匹か持ち帰ることにしたのです。  町のアラブ・レストランではこいつに違いない輪切りのフライを食べたことがある彼は、その経験から相当不味いと思ったようですが熟慮の末、薩摩揚げにすることを思いつきました。  すり鉢にダツの肉塊を入れペースト状にするために、擦れども擦れども弾力のある魚肉はつぶれません。おまけに白い筋が分離してきていちいち取り除けねばならない煩わしさ。へとへとになったが、ミキサーの力を借りて辛うじて一品を完成させました。  その夜、釣り仲間を招いてこんなに苦労して作ったダツの薩摩揚げの来歴を披露して...

白い城と黒い城―対照をなす姫路城と岡山城の威容を見た!

イメージ
  白鷺城といわれる世界文化遺産の姫路城、青空にそびえる白い天守閣は見る人々を圧倒する美しさである。 一方、漆黒の岡山城は烏城と呼ばれ川面に映えるその姿もまた優美なもので歴史の深さを感じさせる。今回の旅では対称をなすこの二つの城を訪れた。ちなみに白い城は幕府の親藩、黒い城は外様の大名の居城という。そういえば、当初黒い外観の大坂城は徳川の時世では白く塗り替えられた。 姫路城  昭和から始まり、平成に完成した大修理工事、世界文化遺産に登録された姫路城は現在築城時そのままの白い美しい姿を人々の目を楽しませている。その天守閣は「まるで白鷺が舞い立つようだ」とまたの名を白鷺城と言われるようになった。  1346年に赤松氏が姫路城を築いたのち、1545年になって黒田氏が姫路を預かることになった。黒田官兵衛はここで生まれた。毛利攻めの際、羽柴秀吉が入城しここを拠点とした。関ヶ原の戦いのあと池田輝政が城主になり、1609年には大改築されて5重7階の連立天守が完成した。その後、姫路城は徳川幕府の譜代大名の本多、松平、榊原、酒井などの諸将が入封していたが明治の廃城令にも存続が許され、その天守は1931年、旧国宝に指定された。太平洋戦争の空襲にも消失を免れ1993年にはユネスコの世界文化遺産の登録、2009年の天守の大修理を経て今日の姿となった。  姫路城を訪れた日はちょうど休日にあたり、大勢の観光客でごった返していた。大手門から歩き出す。かなたに聳える天守閣はまだまだこれからだ。扇の勾配の石垣が見事!  大天守まではあまりの混雑で六層の階段では何度も入場制限があり、なかなか行き着けない。それでも列を乱さず整然と順番を待つ人々は日本ならではのものではなかろうか。もちろん、外人観光客もそれにならっているが・・・。   姫路城は多くの人の注目をあつめているが、大阪夏の陣で大坂城から脱出した家康の孫千姫が本多忠刻に再嫁し、この城で10年過ごしたというエピソードにはあまり関心がないようだ。忠刻の死後千姫は江戸にもどったが、姫路城の西の丸には千姫が休息所としていた化粧櫓と侍女たちの居間であった百閒廊下が現存している。  大天守閣の混雑から避けてここに足を延ばした。当時は極彩色の装飾がほどこされていたが、今は板張りの部屋である。それでも見物客が少ないのでゆっくり鑑賞する事が出来た。 岡山城  織田信...

陶板の名画の数々、大塚国際美術館を訪ねてー徳島県鳴門市

イメージ
  大塚国際美術館は世界で最初の陶板名画美術館である。大塚製薬(株)75周年を記念して設立された。館内には世界の約190の美術館が所蔵する名画1000点余りを陶板で原寸大に複製したものが展示されている。約2000年以上にわたり原画そのものの色彩と姿が残るとされているのは驚きだ。。私はこれらの原画の一部をヨーロッパの美術館で鑑賞したが、まったくといって良いほど忠実に再現されている。ここでは写真撮影のみならず手で触っても良いので、堅苦しい美術館のイメージはなく気楽に鑑賞する事ができた。  古代をはじめ、ルネサンス時代のレオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、、バロックのレンブラント、近代のゴヤ、ミレー、ゴッホ、セザンヌ、ピカソなど数々の名画を観てまわるには1日はかかるかもしれない。今回の旅はクリスマスも近いのでルネッサンス時代のキリストにかかわる名画を主に鑑賞することとした。(括弧内は原画を所蔵している美術館)  レオナルド・ダ・ヴィンチの受胎告知とフラ・アンジェリコの受胎告知 (ウフィッチイ美術館ーフィレンツェ)   (プラド美術館ーマドリッド)     ラファエッロ・サンジオの大公の聖母とシニョレッリ・ルーカの聖家族 (ビッティ美術館ーフィレンツエ)  (ウフィッティ美術館ーフィレンチェ)  当美術館には世界の様々な画家による作品が複製されて展示されている。目移りしてしまいそうだが、やはりおなじみの巨匠の画家の前では足が止まってしまう。  だいぶ前のことだがミラノを訪れた際、修復前のレオナルドダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を鑑賞した。再訪した2011年にも修復されたこの作品を観る機会を得た。大塚国際美術館では展示室の左右にこの二つがあるので、どう修復されたかその違いが分かるようになっている。 恐らく修復前の原寸大の「最後の晩餐」はここでしか観られないのではないか。 陶板だが世界遺産にも登録されている作品に手で触ったのは初めてである。  レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐 (修復前)   (サンタ・マリア・グラツイエ教会)    (修復後)  ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂、ミケランジェロの大壁画で埋め尽くされている。まるでサン・ピエトロその場所を訪れたかの感がある。これが複製再現されているとは思えないほどだ。  たった、3時間ほどの鑑賞ではあったが、満ち足りた...