釣り人の天敵を食べてみたらー チョー不味いペルシャ湾の魚:そのー4

  アッやられた!アジ釣りの最中、海面にたむろして虎視眈々と獲物を狙っているダツが何匹も突進してきます。ここはサウジアラビアの海、当地では手に入らないアジさびき仕掛けがおもりごと取られてしまいました。腹が立つの、なんのって・・・コンニャロ! 次の休暇まで4か月、当地のスポーツショップでは釣り道具はろくなものはないので日本で買ってくるより他に手立てはありません。おもりは自動車の古いプラグで何とかしのいでも手持ちのさびき仕掛けは残り少なくなっています。まったく釣り人泣かせのダツ野郎、皆で退治することにしました。

 なにしろ、1メートルもあるダツ、ギザギザの牙がならぶ猛禽のくちばしのような口、長い青黒い胴体には耳のようなひれがついています。見るからに獰猛なヤツ、人に好かれる要素はどこにもありません。ダツは学術的にはダツ目ダツ科です。 ところがサンマもダツ目サンマ科とは・・・釣り人の天敵のダツ野郎と一緒にされるとは、美味しい日本のサンマがかわいそうに思えてきます。

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学名   :Tylosurus choram (Ruppell) 1837
英語名   :Needle Fish
アラビア語名 : Hagool
日本類似種   :ダツ

 ハタ(アラビア語:ハムール)の手釣り仕掛けにウレタンフォームの浮子をつけ、小あじを1匹つけて海面のダツの鼻先にたらしてやると躊躇なく飛びついてきます。かならず餌に対して直角に食いついてパクパクと角度を変えて呑みこむ姿がユーモラスです。 タイミングを見計らって、エイヤ!と引き上げます。

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何本も釣れあがったダツ、これは釣りというより虐殺です。これじゃあ魚がかわいそうだ。釣り師の面目をたてるため、友人のAさんは何匹か持ち帰ることにしたのです。

 町のアラブ・レストランではこいつに違いない輪切りのフライを食べたことがある彼は、その経験から相当不味いと思ったようですが熟慮の末、薩摩揚げにすることを思いつきました。

 すり鉢にダツの肉塊を入れペースト状にするために、擦れども擦れども弾力のある魚肉はつぶれません。おまけに白い筋が分離してきていちいち取り除けねばならない煩わしさ。へとへとになったが、ミキサーの力を借りて辛うじて一品を完成させました。

 その夜、釣り仲間を招いてこんなに苦労して作ったダツの薩摩揚げの来歴を披露して薦めたところ、他の皿の料理は減ってゆくのに、この皿だけはいつまでたっても山盛りのまま。 お客は「ダツ」という言葉を聞いた途端、普段海で見かけるあの醜悪な姿を思い出し誰も手を付けようとはしなかったのです。その時のAさんのがっかり顔はいまでも目に浮かびます。

暇人のつぶやき:
 ダツは漢字で{駄津」と書くそうです。甚だ危険な魚で夜間に漁やダイビングをしていると、光をめがけて突進してくるので大けがをすることもまれではないそうです。沖縄では漁師たちからは「ダツはサメより怖い」と言われています。料理は刺身やから揚げにするそうですが一般的ではなさそうです。美味しいのかどうか?私はダツの姿を見てしまったので料理は遠慮しておきましたから, わかりません。 

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