アラビアの海に住む謎のアンパン貝


謎の丸い岩の正体は

 ある時、私はいつものようにヒオウギ貝を求めてアラビアの海底を散策していました。しかし、この日に限って、中々見つかりません。岩棚を丹念に探していたところ、なんと、円形の岩のこぶが上下に動いています。

 エッ!こりゃ貝だよ。岩にへばりついた二枚貝、そいつはちょっと貝殻を開いて呼吸しています。丸く盛り上がった貝の姿はアンパンそのものです。(後日、この貝を誰が言うともなくアンパン貝と言うようになりました)触るときゅっと殻を閉じて岩と区別がつかなくなります。


   前に愛媛県,愛南町のヒオウギ貝について、ブログに書きましたが、その際、アラビアにも「ヒオウギ貝」がいると、ご紹介しました。 (有)愛媛サポーターズ:Cafeさんのブログで 「ヒオウギ貝を食す!」 を読みました。日本のものは大きくて美味しそうですね。 岩カキは開くのに大変との由。

 さて、今回はその続編です。サウジアラビアの海で偶然見つけた謎の貝にまつわる話です。 まさか、愛南町にはこんな謎の貝はいないでしょうね。

画像 ともあれ、こいつが口をあけた時ナイフでこじ開けて見ました。おおきな貝柱が入っています。小魚が寄ってきて啄ばんでいます。魚がうまそうに食べていますから毒ではないだろう。そう思ってその貝柱を持ち帰りました。

海底の岩だな、ヒオウギ貝はこの岩の割れ目にひそむ
謎の貝は岩の上にへばり付いている

 しょうゆをつけて、試食してみたところ、コリャ、うまい!。貝の甘み、磯のかおりが舌に伝わってくるではありませんか。貴重品のヒオウギ貝にかわるものだ。ただし、どうやって、岩から剥がすのか?それが問題です。

 次の休日にはトンカチとバールをもって、採取にかかります。なかなか取れない。岩ごと取るのですが、失敗して貝殻が割れてしまう場合も多いのです。もったいないから貝柱だけ、そっと網袋に入れます。

 何度かこの場所で、貝を採っているうちに、そばにハムール(はた)が寄ってきます。失敗し貝柱がぐちゃぐちゃになってしまった分や、ワタを狙っているのです。

 翌週も同じハタがやってきます。すっかり顔なじみになってしまいました。相手はこの得体の知れない魚(人間)にくっ付いていれば、おこぼれ頂戴ができることを承知しているからです。 水中では大きく見えるが実際は50cm位の小さな奴でしょう。

 よし、こいつを今夜のおかずにしてやろうと、ある日スピアガン(水中銃)もって行きました。しかし、この日に限って、やっこさんは姿をあらわしません。殺気を感じるのでしょうか、たいした本能です。しかし、トンカチやバールは武器ではないと見分けがつくらしいのです。貝獲り作業中いつのまにやら、うしろにいます。まあ、友達にしておきましょう。

画像 このようにして休日は、ヒオウギ貝やアンパン貝をとり、夜は梁山泊めいた独身寮で、皆で持ち寄って料理して食べます。刺身が一番、バター焼きが2番手。串焼きもいけます。とにかく、このアラビアの国では、夜遊びに行くところが無いのです。        

  石そっくりな謎の貝、かなづちで岩から剥がす

しかもここは、厳格なイスラム国家、アルコールは禁止されています。まあ、ノンアルコールビアで憂さ晴らし。        
              
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アンパンのような丸い貝を二つに開くと、その貝殻は灰皿にもってこいです。しかし、タバコを吸う人が少なくなってからは捨てられてしまいます。
 ゴミを回収しに来た現地の人は、一体、日本人は何をしたのだろうと不思議に思ったかも知れません。 なにしろ、この貝を食べるとは思いませんからね。

真珠貝も食べちまえ!

 さて、ここに駐在している自称グルメな男たちは、海底にころがっている真珠貝をも料理してしまいます。黄色のワタは生臭くて食べられませんから、半月の貝柱だけを取り出します。貝柱は、一個からは少量しか取れないから、10個分を集め、たまねぎ、にんにくバターでいためます。掻き揚げも硬いが、ウーン?まあまあの味、と言っておきましょう。

画像 真珠が入っている場合がありますから、よく見てから料理しないとガリッ!と噛んでしまいます。真珠も味のうち、と豪語した男もいましたが,歯が欠けたら大変です。当地には良い歯医者さんがいません。

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 真珠は砂粒のようなものから、直径3~7ミリぐらいが、3個に一粒くらいの割合で貝に入っています。しかし、ほとんどの場合、楕円や卵形です。ラッキィにも大きな眞円形を、見つけた人は日本の娘さんのためにブローチにしたそうです。 写真は今まで集めた分です。

 アンパン貝はアラビアの海底の岩場に無数についています。私の現地駐在中、皆で乱獲してしまいました。 しかし、既にこのグルメなグループ全員が日本に帰国して、もうだれも獲る者はいません。 

 アンパン貝たちはやれ助かったと、貝殻を開け閉めしながら、ほっとした気持ちでいるかも知れませんね。


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