チョイ・ケバだけどチャーミングなアラビアふた筋ダイ

  アラビア湾(ペルシャ湾)にはカラフルな魚たちが生息しています。私がこの海で初めてアラビアふた筋ダイを釣った時、あまりにも綺麗なのでこれは食べられないとリリースしようとしました。するとアラブの釣り仲間が捨てるならくれよというので、気前よく差し出しましました。あとで聞いた話ではアラブ人の間ではたいそう美味と評判の魚で「しまった」と思いましたが後の祭りでした。


 アラビアふた筋ダイとは日本の魚類学者が付けてくれた名前です。アラビアではフォスケル 学名はAcanthopagrus bifasciatus (Forskel) 英語名は Two Banded Seabeam といいます。別名はキャプテンズ・ドーター(船長の娘さん)と言い見るからにチャーミングなおさかなチャンです。

アラビア二筋ダイ.jpg












 ファッション・ショウ風にいえば「お顔のメイクは強調し黄色のファンデーション。眼とうなじにかけて二本の黒い縞のラインが魅力をアッピールします。銀色のボヂィにうまく組み合わさった黄色のヒレと背びれが青い海に映えスリムな感じを醸し出します」・・・と、言うのかな。

 50センチのこの魚はまさにチャーミングなお嬢さんと言うにふさわしく、日本に持ってくれば水族館で人気アイドルになるでしょう。だが、持ち帰るすべはありませんね。

アラビアニ筋ダイー2.jpg













 このお嬢さん、釣りをしていてもなかなかかかってくれません。たまに釣れるのは余程お腹をすかしているか、カレ氏に振られてヤケになっている時だけかもしれませんね。家に戻ってさばいていると、このお嬢さんのお腹には細かい貝殻がいっぱい詰まっていました。なんだ、彼女は有名料亭の貝料理しか食べないセレブちゃんだったのですねえ。イカゲソの餌では釣れない道理だ。/div>
 さて、このおさかなちゃんは甚だ美味です。三枚におろし皮を剥ぐと白い身の中央の鮮やかな紅色が刺身の大皿に豪華な感じとなるのです。
当地の魚類と同じく油は乗っていませんがプリプリした舌ざわりは美味の一言に尽きましょう。薄く削ぎ切し押しずしも作ってみました。


 アラビアでは魚を生で食べる習慣がなく魚市場に並べてある魚は鮮度が悪く、刺身を食べたければ自分で釣り自分でさばいて作るよりしかたありません。アラブの地で生活している間、このキャプテンズ・ドーターは本当に貴重な食材でした。


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