釣っても食べてもつまらね~奴だなあーアラビアの魚「ギマ」

  サウジアラビアで勤務していたころです。やはり刺身を食べたい!。そう思ってもネタになるような新鮮な魚は売っていません。刺身を食べたきゃ自分で釣りをするしかありません。ここは、アラビア湾(ペルシャ湾)に面したアル・カフジ。美しいアラビアン・ブルーの海では新鮮な魚がごまんと釣れます。今日の晩飯はキスと小鯛の刺身にしよう。仕事を終えた夕方、小竿を抱えていそいそと海岸に向かいました。

 ちょうど潮時も良し、と思いきやさっぱり魚信がありません。5時を過ぎたからキスはもう退社しちゃったのかい・・・そこで仕掛けをかえました。  

 暫くすると、海岸の砂に突き刺した竿がパタリと倒れます。きたぞ!良い引きをしている。期待に胸を躍らせ釣りあげた魚はホネホネムードの「ギマ」 コイツは食べないからリリースをして次の小鯛を待ちます。

 また来たぞ!アリャ~アまたギマだ。次々とギマが釣れ上がります。もう今日はあきらめて引き上げます。

 数日後、同僚のA氏から食事にこないかと誘われました。グルメを称する彼はよく食事会を催します。料理の腕も中々のものですから彼の部屋には人が集まっています。

 「今日は酢の物だ」 当地ではなかなか口にできない和食ですから皆よろこんで食べています。私も一口、あれ、酢ときゅうりの味はすれども肝心の魚は・・・生臭さだけが口に残ります。薄切の一片を箸で取り上げ彼に言いました。 

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学名      :Triacanthus bia culeatus (Block,Contor 1850)
英語      :Leathe-jakcket Fish
アラビア語   : Kissii
日本語(類似種):ギマ
体長     : 23cm (写真)

 なんだね、この魚は? 彼はニコニコしながらキッチンから魚を持ってきてちょこんとテーブルにのせました。 皆は珍らしがって、つまんだり触ったりしています。 「なんだ、ギマじゃないか! これ毒魚じゃないの!」 と、私。    
 「いや、何回も食べたがこの通りピンピン生きている、ちゃんと図鑑で調べてみたよ。しかも今日釣ったばかり」 この会話が原因で座は静まりかえりました。 この魚、なんで自分が話題になっているのか分からないのか、きょとんとしています。

















 どうも胡散臭い魚ですねえ、日本の魚類図鑑にはのっていますが一般的な食材ではなさそうです。 以前彼の部屋で出されたミリン干しはこれだったのでしょうか? 釣ってがっかり、食べてがっかりのこの魚、よくよく見るとどこかの誰かサンに似ていますねえ。 


   横から見ると魚っぽいですが・・・。 インターネットで調べてみると我が国ではギマは静岡県浜名湖での呼び名で昔から名物として賞味されているとのことです。毒魚ではないので安心しました。浜名湖の人には申し訳ありませんが、へええ~食べる人もいるんだ・・という感じです。

暇人のつぶやき:

 だが、待てよ、ギマといってもこれは海外の魚。いわば外米を食べて不味かったから日本のお米も不味いというようなものじゃないか。いっそ、浜松に行って日本のギマを食べてみるか・・(あのへんてこな姿)やはりやめておこう。

 

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