サウジアラビアの地底湖を往く

  1979年だったか、サウジアラビアの赴任中、連休を利用してリアド近郊の地底湖を家族とともに訪れる機会を得た。最近、サウジアラビアは観光ビサが発給されるようになったと聞いているが、当時は就労の為にしか入国できなかったから、恐らくここを訪れた日本人は当時でも数えるほどだったろう。それからまもなくこの洞窟は落盤のため閉鎖されたと聞くが、復旧されていれば今後のサウジの観光に一助となるのではないか。


 サウジアラビアの首都リアド、その位置はアラビア半島の中央部にある。リアドとは「緑の土地」を意味し豊富な地下水を有している。リアド郊外の山々、ここは海抜900メートルのトアイク山脈が連なっている。その一角の切り立った崖に洞窟があり、その奥には地下水をたたえたいわゆる「地底湖」がある。

 「リアド郊外の山のふもとに地底湖がありますよ」リアド事務所に勤務した経験を持つA氏の一言で、今度の連休に案内してもらうこととなった。 私の家族4人ともう一家族、それに日本人小学校の先生を含めたパーティ11名はアラビアに面したカフジから車で800km離れたリアドに向かった。

 A氏の車の先導でアラビアの岩石地帯に車を走らせた。道なき道を小1時間、山のふもとに大きな裂け目があるのが見えた。ここが、目指す地底湖の入口である。入口は思ったより大きなところだ。


 
 そばには、何台も車がとまっているところを見ると結構名の知れた観光地かもしれないが、日本のそれと違って土産物店など一軒もなく殺風景なところだ。
 なだらかな斜面を子供の手を引きながら降る。

 

 およそ100メートルも下ったろうか、薄暗い視野の中に水面が見えた。入口からの光はここまで入ってくるので、用意した懐中電灯は必要なかった。


 湖面は幅50メートル 左右の崖に100メートルくらい伸びている。周囲のそそりたった岩盤には観光地の例にもれずこれでもかと落書きで彩られている。見ると大勢の子供が泳いでいる。「海パンを持ってくるんだったなー」 後ろで日本語が聞こえた。

 上流では老人がポリタンクに水を汲んでいる。わたしも岸辺で水をかき回した。驚くほど冷たい。誰かが言う、

 「ほら、水が動いていますよ」 

 かき回した土砂はゆっくりと下流に流れてゆく。その先は崖だ。水はまた伏流水となって地下を通りどこかのオアシスにたどり着くのだろうか。

 妻の声がした。「見て、見て、魚が泳いでいる」

 浅瀬には数十匹のメダカほどの小魚が群れている。なおも目を凝らすと20cmくらいの黒い魚が数匹泳いでいるのが見えた。

 なぜ、地底に魚がいるのか、上流のオアシスから流れてきたのだろうか。それとも下流から泳ぎあがってきたのだろうか。
                

 翌日、我々一行はリアドから400km離れたオアシスの町ホフーフに立ち寄った。このオアシスの泉には地底湖で見たのと同じ魚が無数に泳いでいた。






















 

















 湖面は幅50メートル 左右の崖に100メートルくらい伸びている。周囲のそそりたった岩盤には観光地の例にもれずこれでもかと落書きで彩られている。見ると大勢の子供が泳いでいる。「海パンを持ってくるんだったなー」 後ろで日本語が聞こえた。

 上流では老人がポリタンクに水を汲んでいる。わたしも岸辺で水をかき回した。驚くほど冷たい。誰かが言う、

 「ほら、水が動いていますよ」 

 かき回した土砂はゆっくりと下流に流れてゆく。その先は崖だ。水はまた伏流水となって地下を通りどこかのオアシスにたどり着くのだろうか。

 妻の声がした。「見て、見て、魚が泳いでいる」

 浅瀬には数十匹のメダカほどの小魚が群れている。なおも目を凝らすと20cmくらいの黒い魚が数匹泳いでいるのが見えた。

 なぜ、地底に魚がいるのか、上流のオアシスから流れてきたのだろうか。それとも下流から泳ぎあがってきたのだろうか。

        

 翌日、我々一行はリアドから400km離れたオアシスの町ホフーフに立ち寄った。このオアシスの泉には地底湖で見たのと同じ魚が無数に泳いでいた。

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