アラビアで魚拓を取ってみたら?

  サウジアラビアの東部地方アル・カフジに赴任中、娯楽の少ない砂漠の中では仕事のストレスがたまりっぱなしです。幸いにしてペルシャ湾(アラビア湾)は目の前です。ここには日本ではお目にかかれないような大物がいます。メートル級のサメ、バラクーダをはじめ、タイやヒラアジの類も大汗かいてファイトしなければ釣れてくれません。ヒットした獲物が手元に上がってくると日ごろのストレスなんか吹っ飛んでしまいますよ。新鮮な刺身!これもたまりません。

 釣りあげた魚はもちろん食卓にのせるのですが食べる前に記録を残しておきたい。そういう思いから魚拓に挑戦することとしました。

 はて、どのようにしたらよいのか?手引き書をひらきました。墨汁は日本人学校にあります。しかし、用紙や布はそんな大きなものは現地にはありません。そこでケント紙を使ってみることとしました。

 まず、紙に霧を吹きつけます。当地は乾燥した砂漠地帯ですから、こんな程度ではNG、タオルを濡らして一面にしみこませます。魚体に墨汁を塗り、半乾きになったところで湿ったケント紙をかぶせます。出来た! それがこの作品です。??? 壁に貼って悦に入りました。

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学名: Scomberoides commersonianus(Lacepede)
英語:Talang Queen Fish
アラビア語:Thelah,
日本の類似種:いけがつお

 味の評価: はっきり言って、不味い! 焼いたり揚げたりしても魚肉は堅いし されば、と練ってさつま揚げにしたらパサパサ。 寿司パーティではネタが足りない時の助っ人。まあ、刺身ではフツーの魚の味と(ほとんど)区別できないから助かる。 これは何?と聞かれると「シイラ」と答えます。

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学名:Guthanodon speciosus (Forskal)
英語:Golden toothless trevally
アラビア語: Bayad
日本の類似種:こがねしまあじ

 味の評価:9月ごろ釣れだす季節もの。アブラはあまりのっていないが、すしだねには貴重品。刺身が美味い。煮物はいまいちだが、フライもいける。絶品は捌いたあとのあらの(姿焼き)塩、こしょうを振ってオーブンで骨をカリカリに焼き上げる。これを肴に一杯飲りたいところだが、当地はイスラームの掟が厳しい禁酒国なのです。

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学名:Plectorhynchus schotag (Forskel)
英語:Painted grunt
アラビア語:Yanam
日本の類似種:ころだい

 味の評価:夜釣りで仕留めたこの大物、淡泊な白身の魚で当地では美味い方の部類にはいる。在任中2~3匹しか釣れなかったので、刺身でしか食べませんでした。

        

東京から来た、釣り名人のお客さんを食事に招いて「これがアラブの魚拓です」と見せたところ、苦笑いして「魚拓はこれじゃあ駄目だよ、頭を左にして写さなければ」との評価でした。 でも、でかいね、これは」といわれ、ホッとしましたが・・・。 

次の「ころだい」からは頭を左がわにして写しました。これで良いのかなあ??? でも出来栄えはいまいちですかねえ・・・。

 あれから38年、東京の自宅で日の目を見ることなく眠っていたアラビアの魚拓、もうボロボロに痛んでいます。でも、私の心のなかでは、あの大物の魚とファイトした釣りの思い出は鮮明に焼きついています。
 
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上: 1978年ごろの若いころ。  下: カフジ釣りクラブ1997年ごろ。釣りが盛んになって約130名のアラブ人や日本人のクラブ部員がアラビアの釣りを楽しみました。、

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