ヴァイオリンの音に聴きほれて東禅寺 緑のコンサート

「パパ汗かいている」その声にドッと笑い声が起ります。 コンサートで熱演の一曲が終り盛大な拍手の後に飛んだヴァイオリニストの幼いお嬢さんの声援? です。 ハンカチで額の汗をぬぐう演奏者のパパもこれには苦笑い。 10月27日東禅寺で開催された田野倉雅秋ヴァイオリンリサイタル「緑のコンサート」の一こまでした。 田野倉雅秋氏は数おおくの国際コンクールで優勝している日本のヴァイオリニストの一人者です。 ピアノは須関祐子氏、数々の国際ピアノのコンクールで優勝や受賞している今や引っ張りだこのピアニストです。 昨日の台風27号の去った秋晴れの日、このリサイタルを聴こうとお寺の本堂に設えられた会場には約250人が詰めかけました。


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  コンサート会場の東禅寺

コンサート第一部は この二人のぴったり息が合った演奏、ベートーベンのロマンス第2番、難解な旋律を次々こなして行く姿は正に聴く芸術品です。 気合の入ったその姿にお嬢さんのパパへのいたわりが思わず声に出たのも当然でしょう。 続くラヴェルのヴァイオリン・ソナタ(遺作)、ストラヴィンスキーのディヴェルティメント、けれども私にはいささか理解しにくい難曲でした。

第二部はシンドラーのリストのテーマ、クライスラーの愛の三部作)美しきロスマリン。 愛の悲しみ・愛の喜び。 これらは普段から聴きなれた曲で肩の荷が降りたようにリラックスして聞きほれました。 CDで聞くような平面的なデジタル修正音とちがって、生演奏は立体的な深みがある音色、最後のチゴネルワイゼン作品20、耳から入る音色は体を駆け巡ります。 時間が経つのを忘れてしまいました。


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東禅寺は名前こそ知っていましたが訪れるのは始めてです。 コンサート終了後お寺の中を見学しました。 ここは初代英国公使館でした。 奥の広間のさらに奥にオールコックや公使館員が居住していたと聞きましたが残念ながら拝見できませんでした。

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緑豊かな境内、秋になって境内に茂る樹からお寺のひさしに落ちるどんぐりの音は東禅寺の風物詩となっていると住職さんの説明がありました。

緑のコンサートは今回で9度目です。 前を見て明日にむかおうー「緑の自然環境を大切にしましょう」とはお寺の住職さんの言葉。 たゆまず育てれば100年後には大樹となるのです。


また、来年聴きにこよう。 周囲の木々の緑の幕を見ながら帰途に着きました。


「東禅寺 緑のコンサート」
主催:東禅寺
共催:東京ミュージックアーツ
高縄共和会

本コンサートは10月26日の愛唱抒情歌{別れの日}および27日の「田野倉雅秋ヴァイオリンリサイタル」の2日間にわたり催されました。

東禅寺とは・・・


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幕末の開国に伴い1859年(安政6年)に初代英国公使オールコックが着任すると、寺はその宿所となりイギリス公使館が置かれました。

1861年(文久1年)には尊王攘夷派の水戸藩浪士によって書記官らが負傷、翌1862年(文久2年)に、またも信濃松本藩士が襲撃しイギリス人水兵2人を殺害する事件が起きました。 東禅寺は1865年(慶応元年)まで7年間英国公使館として使用されました。

現在の寺域は往時に比べて縮小されまわりは閑静な住宅地となっていますが本堂、三重の塔、釣鐘堂や公使館員たちの宿所として使われた部屋や庭が残されています。 2010年(平成22年)に国の史跡に指定されました。

JR品川駅から徒歩7分

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