片手を貸してくれた人には、両手を与えよー実際に見たアラブの格言
中東で勤務していたときのこと、私の部下が交通事故で怪我をして入院しました。これは大変なことになってしまった。そこで早速お見舞いに駆けつけました。幸いにして彼は2週間で退院することができました。しばらくして、見知らぬ男が私のオフィスにやってきました。 堂々たる風貌の紳士です。 握手をしてお茶をすすめ用件を尋ねますと、その男は怪我をした私の部下のお兄さんでした。彼は弟が怪我をしたときに見舞いに来てくれたそのお礼のために私を訪ねてきたことがわかりました。 部下が病気になったりに事故で怪我をした場合、日本では病院に見舞いに行くのは普通のことですが、どうも当地では上司が部下を見舞うことなどありえないらしいのです。 これが縁でその後は彼の家に招かれたり、その席で色々な人(町の有力者など)を紹介してくれたりして気を使ってくれます。弟の事を引き立ててくれと頼むだけではなさそうです。こういう人脈は思わぬところで私の仕事の上で役立つことがありました。私が帰任する時も彼はわざわざ挨拶に見えました。 アラブの格言では 片手を貸してくれた人には、両手を与えよ あるいは、 片目で見てくれた人には、両目を用いて答えよ 彼はそれを実践していたのですね。 当たり前のことをしただけなのに、こちらが感謝しなければならないくらいのことをしてくれました。 今、思い出しても嬉しい出来事でした。