研ぎ澄まされた銀色の美しい魚体―太刀魚

 次男が釣りから帰ってきました。「今日は太刀魚だよ!」 普段はスーパーなんかに並んでいる切り身しか見ることが出来ませんが、なるほど太刀魚とは良く言ったもんだ、研ぎ澄まされたような鈍く光る銀色の魚体は鍛えられた日本刀のようです。それに鋭い歯、正に海の戦士といった顔つきです。

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 どうやって捌く?ちょっと長すぎますネ。バター焼き、刺身の分に切り分けます。鋭い歯に気をつけて調理しましょう。 

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「太刀魚針かぁ・・・」 刺身を食べる箸の手をとめて思い出に耽けります。

 私は太刀魚釣りはやったことがありませんが永年勤務していたサウジアラビアでは週末、休日に日頃の辛い仕事から逃れてアラビア湾(ペルシャ湾)で釣りに興じたものです。

 アラビア湾には釣り人を狂喜させる大物の魚が数多く生息しています。中でも引きの強さで知られるバラクーダ(おにかます)、コイツが掛かると一発で針を持っていかれてしまいます。フロロカーボン製のシーガー16号のハリスでもあっという間に持っていかれたことがあります。バラクーダは50cmの若魚から2m近いものまでありますが、釣りの対象は80cm位までです。

 バラクーダは鋭い歯をもっていますから、そこで考えたのは同じ鋭い歯を持つ太刀魚用の釣り針を使って見ようと思いつきました。そこで休暇で日本に帰った時に釣具店を廻って一番大きな太刀魚針を大量に持ち帰りました。

 釣り針には15cmほどの#34番ワイアー、その端のにサルカン(よりもどし菅)には30cmのシーガー16号のハリス、それにまたサルカンを付けます。釣った時、鋭い歯を警戒して釣り仕掛けごと外せるように道糸にはさらにスナップ付きサルカンを付けました。(ゴムクッションや蛍光玉も試して見ましたが効果があったかどうかわかりません)錘はナツメ(中通し)35号です。明日の豊漁を夢見て夜遅くまで頭をひねって釣り仕掛け作り、オタクっぽいですがこれも楽しいものでした。

 バラクーダの強烈な引きのためワイアーはすぐにラセン状に撚れてしまいます。そのため毎回大量の仕掛けを持ってゆき釣れる度に交換します。

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 潮がよくなって60~80cmサイズのバラクーダが次々と釣れ始めました。アラブの釣り人たちは何故そんなに釣れるんだと羨ましがっています。勿論、多量に作った特製の太刀魚針を分けてあげました。 

(普段大きなバラクーダは1匹でさんご礁あたりを悠々と泳いでいますが、若魚の時は群れていますからこれにあたると次々ヒットします)


 10センチほどの小鯵の活餌で泳がせ釣りを始めた途端、強烈な当たりがきました。これはでかい、竿まで水中に引き込まれてしまいます。 何度かやり取りするうちにスルリと抜けた感じ、「あっ、バレタ!」リールを巻き戻してみると、あの太刀魚針は完全に伸ばされていました。

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 夕食のコリコリした太刀魚の刺身とバタ焼きを賞味しながら、ふと、懐かしいアラビア湾の釣りを思い出しました。

 いっぱしの釣り師を自称する次男、彼の子供の頃、あのアラビアの海岸で家族揃ってキスやタイを釣ったことを憶えているでしょうか?

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