駱駝の肉って本当は美味いのかなあ?
サウジアラビアに赴任していた頃です。当地はイスラム世界ですから料理では羊肉が一般的です。スーパーマーケットには鶏肉や牛肉も豊富にならんでいますが、宗教で禁じられている豚肉はお目にかかれません。砂漠にごろごろたむろしている駱駝、地元の人は食べると言っていますがあまり人気がないようです。エジプトでは駱駝肉は一般的だそうです。しかし、マーケットに出ている価格は羊の肉よりか安く、格下に見られているようです。
サウジアラビアでは結婚式や昇進のお祝い事があると大勢の人が招かれ、その席ではカルーフ、すなわち仔羊の丸焼きが1メートルのあるステンレスの皿に載せられいくつも運ばれてきます。永年サウジで暮らしていた私は何度もこういうお目出度い席に招待されました。ある結婚式の披露宴、じゅうたんの上に並べられたカルーフの皿にまじって得体の知れない丸太のような肉料理が置かれています。 私はは隣のアラブ人に、これは一体何なんだ?と問いかけました。
「ハザー、ジャマル」 すなわち 駱駝、だと言うのです。
好奇心旺盛な私は早速、当地のマナーに従って右手でむしり取って口に入れました。
ん、ん、ん、? 硬い。肉の筋が歯の間に挟まってしまう。噛んでも中々柔らかにならない。塩味はかんじるが、カルダモンなどの香辛料の匂いだけで肉そのものの味はスカスカだ。
塊をようやく胃の腑に送り込んで、「ムシュ・クワイエス(よくないよ)この肉は! と隣のアラブ人に言いました。
だからオレは食べない、と彼は笑っていました。あちこちの駱駝肉の皿は何時まで経っても山盛りのままです。
何年かたった後、ある裕福なアラブ人の息子の結婚式に呼ばれました。 凝った肉料理の皿が出てきました。 トロリとした盛り付けです。早速賞味しました。柔らかに煮込んだジューシーな味。おきまりのカルーフはやめて、それをお皿にたっぷりと盛り付け平らげました。
後で聞くと、仔駱駝の肉でそれも生後3ヶ月だそうです。いやあ~美味かった。しかし、この前の駱駝肉の料理はなんだったのだろう。
一体、駱駝の料理は美味いのか不味いのか、どちらが本当か判らないままサウジアラビアから日本に戻りました
サウジアラビア赴任中のこと、あるアメリカ人が仕事で尋ねてきました。夕食にはカプサという羊肉のアラビア料理でもてなしました。
食後のひと時、彼はローカルの料理をいろいろ食べてはいるが、これは美味かった。と満足そうでした。
ところで砂漠にたくさんいる駱駝、あれは食用のため飼育しているのか?と質問が出ました。 私はすかさず、
「あれ(キャメル)は食べるものではなく喫うものなんですよ」
ややあって、彼はこのジョークで大笑い、本国にもどったら週末のパーティで使わしてもらうよとのこと。私はこのジョークはアメリカ人だけにしてくれ。キャメルが煙草のブランド名とは知らない国の人は本気になるからと付け加えました。
彼はフランス人に言ったら本当にスモーク(燻製)にしてしまうよ、キューバ人だったら肉を巻いて葉巻にするだろうなと、ジョークを飛ばしまたまた大笑いが起こりました。
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