物を切る前にはものさしを当てて計っておけ、切った後で計っても意味がないー実際に見たアラブの格言
アラブ社会ではほめられるより罰せられることの方が多いので、失敗して罰せられるより何もしない方が良いという意識が強いのでしょうか、自分の責任の範囲でしか仕事をしません。例えば、オフィスが火事になったとしたら「火事だ!」と消防署には電話をしますが、そばにある消火器で消そうとはしません。 余計な事をして消し損ねたら責任を問われます。 アラブではたびたび 「It’s none of my Buisiness」 という言葉を耳にします。消火作業は消防士の仕事、手を出してはならないようです。
現に市街地で火事がありました。市の消防車が中々来ないので会社の消防隊が駆けつけ消火にあたりました。後から聞いた話では、その消防隊の責任者が市役所に呼び出され「余計なことをしてくれた、これは会社の仕事でない、これは我々の仕事だ」と感謝されるどころかクレームを付けられたそうです。もっとも、この話は会社のアラブ人スタッフたちの笑い話になっていましたが。
さはさりながら、この地では物事を行う前に、自分の責任の範囲で妥当なものであるかどうか、まず、頭の中のものさしで計っておかねばなりません。アラブの格言では、
物を切る前にはものさしを当てて計っておけ、切った後で計っても意味がない と・・・
港で作業船に乗り込んでスタンバイしていた時でした。 乗客の一人が突然発作をおこし苦しみだしました。すぐに救急車で病院に運ばれましたが不幸にも亡くなったのです。
海上警備隊によって、船長以下船員と乗客全員が拘束されてしまいました。死亡した本人が船内で何かトラブルがあったのか、取り調べではまずそれを殺人事件として扱います。ところが私が繰り返し質問を受けたのは彼が船内(海上)で亡くなったかどうかでした。私は救急車まで付き添っていましたので、陸に上がった時にはまだ痙攣をしていたと証言しました。息をしていたのかと何度も問われるので、そのようだったと答えました。他の人も同じだったようです。
すぐに全員が釈放されました。係官は「これは私たちの仕事でない、彼は陸上で死んだのだから、これは市の警察の管轄だ」と理由を説明してくれました。
市の警察は、本人は救急車で運ばれ病院で死亡したのだから、病死と結論づけ、その後私たちにはなんらの事情聴取はありませんでした。
車を運転中、検問にひっかかりました。当時、私はクウェイトで車を買ったのでクウェイトのナンバープレートでした。 ここはサウジアラビアです。 まずい事にクウェイトの免許証はその日は持ってきていませんでしたので、サウジの免許証を差し出せば、なんでクウェイトのナンバーの車を運転しているんだ?盗んできたのでは?と疑われてしまうでしょう。
警官は署にしょっ引くだけ、あとは別の係官が取り調べに当たります。 不幸にしてその係官が不在ならば、1~2日は留置j場に留め置かれてしまいます。
まずいことになった・・・、そこで私は警官に「なにか俺が交通違反でもしたか?」と問いかけました。警官は「いや、そうではない、免許証を見せて下さい」と言います。私は「交通違反もしていないのになぜ免許証を見せねばならんのだ、提示の義務はクウェイトの警官にすることでサウジのあんたの仕事ではない。彼を呼んでこい、それとも外交問題になってもいいのか、サディーキ(友達)よ!」と英語とアラビア語のチャンポンで大げさな身振りを交え苦し紛れの屁理屈をならべたてました。
警官はしばらく黙っていましたが、O,K!もう行っていいよと、通してくれました。こんな事を言うヤツに出会ったのは初めてだったのでしょう。きっと、彼は自分の職務がどこまでなのか頭のなかで計って、面倒な事には手を出さないほうが良いと考えたに違いありません。
後日この話をアラブ人たちとのお茶飲みの席で披露したところ、「アンタは(商売上手の)シリア人よりうわてだよ」とドッと笑い声がおこりました。
ここでの物事は従来のものさしで計ったうえ決まって行く、だから新しい事や面倒な事はしないのが実情かと思います。
ある時、私の部屋のトイレの水が止まらなくなりました。翌日になってアラブ人の修理工が来て、なにも壊れてはいないじゃないかと言います。 私が応急処置をしたと言いますと、お前は俺の仕事を盗んだ! お前はバルブだけ閉めて俺を待っていればいいのだ!と怒り出しました。 唖然、仰天。
現に市街地で火事がありました。市の消防車が中々来ないので会社の消防隊が駆けつけ消火にあたりました。後から聞いた話では、その消防隊の責任者が市役所に呼び出され「余計なことをしてくれた、これは会社の仕事でない、これは我々の仕事だ」と感謝されるどころかクレームを付けられたそうです。もっとも、この話は会社のアラブ人スタッフたちの笑い話になっていましたが。
さはさりながら、この地では物事を行う前に、自分の責任の範囲で妥当なものであるかどうか、まず、頭の中のものさしで計っておかねばなりません。アラブの格言では、
物を切る前にはものさしを当てて計っておけ、切った後で計っても意味がない と・・・
港で作業船に乗り込んでスタンバイしていた時でした。 乗客の一人が突然発作をおこし苦しみだしました。すぐに救急車で病院に運ばれましたが不幸にも亡くなったのです。
海上警備隊によって、船長以下船員と乗客全員が拘束されてしまいました。死亡した本人が船内で何かトラブルがあったのか、取り調べではまずそれを殺人事件として扱います。ところが私が繰り返し質問を受けたのは彼が船内(海上)で亡くなったかどうかでした。私は救急車まで付き添っていましたので、陸に上がった時にはまだ痙攣をしていたと証言しました。息をしていたのかと何度も問われるので、そのようだったと答えました。他の人も同じだったようです。
すぐに全員が釈放されました。係官は「これは私たちの仕事でない、彼は陸上で死んだのだから、これは市の警察の管轄だ」と理由を説明してくれました。
市の警察は、本人は救急車で運ばれ病院で死亡したのだから、病死と結論づけ、その後私たちにはなんらの事情聴取はありませんでした。
車を運転中、検問にひっかかりました。当時、私はクウェイトで車を買ったのでクウェイトのナンバープレートでした。 ここはサウジアラビアです。 まずい事にクウェイトの免許証はその日は持ってきていませんでしたので、サウジの免許証を差し出せば、なんでクウェイトのナンバーの車を運転しているんだ?盗んできたのでは?と疑われてしまうでしょう。
警官は署にしょっ引くだけ、あとは別の係官が取り調べに当たります。 不幸にしてその係官が不在ならば、1~2日は留置j場に留め置かれてしまいます。
まずいことになった・・・、そこで私は警官に「なにか俺が交通違反でもしたか?」と問いかけました。警官は「いや、そうではない、免許証を見せて下さい」と言います。私は「交通違反もしていないのになぜ免許証を見せねばならんのだ、提示の義務はクウェイトの警官にすることでサウジのあんたの仕事ではない。彼を呼んでこい、それとも外交問題になってもいいのか、サディーキ(友達)よ!」と英語とアラビア語のチャンポンで大げさな身振りを交え苦し紛れの屁理屈をならべたてました。
警官はしばらく黙っていましたが、O,K!もう行っていいよと、通してくれました。こんな事を言うヤツに出会ったのは初めてだったのでしょう。きっと、彼は自分の職務がどこまでなのか頭のなかで計って、面倒な事には手を出さないほうが良いと考えたに違いありません。
後日この話をアラブ人たちとのお茶飲みの席で披露したところ、「アンタは(商売上手の)シリア人よりうわてだよ」とドッと笑い声がおこりました。
ここでの物事は従来のものさしで計ったうえ決まって行く、だから新しい事や面倒な事はしないのが実情かと思います。
ある時、私の部屋のトイレの水が止まらなくなりました。翌日になってアラブ人の修理工が来て、なにも壊れてはいないじゃないかと言います。 私が応急処置をしたと言いますと、お前は俺の仕事を盗んだ! お前はバルブだけ閉めて俺を待っていればいいのだ!と怒り出しました。 唖然、仰天。
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