たかがピッツァ されどピッツァパイ

 私とピッツァパイの出会いは大学生の頃です。六本木のアントニオやニコラスなど当時の数少ない洒落たイタリア料理店で、キャンティのグラスを傾けながらガールフレンドに物知り顔で奨めたものです。 当時はお店の雰囲気が70%で、料理の味は30%だったと記憶しています。だから実を言うとピッツアはあまり好きな料理ではありませんでしたが、こうしたお店には女優さんもしばしば来るので、それがお目当てで足を運んだのも確かです。


  

 近頃はあちこちにピッツァのデリバリー店が多く、新聞の折込広告ではどのお店も十数種類の写真が並んでいるので目移りしてしまいます。競争相手が多いので見栄えも味も研究し尽くしているのでしょう。それに注文してから到着するまでが早いですね。これもポイントを上げていますね。まだ熱いピッツァを頬張ると、どれもが美味しいのでビックリします。 世界各国からあらゆるチーズが輸入されて使われている。これが日本のピッツァが美味しい理由の一つと考えます。

 ヨーロッパを何度か旅行しましたが、イタリアでは昼食は大概手軽なピッツァかスパゲッティで済ませました。これらは前菜なのでしょうか、いつもボーイが次のオーダーを待っています。しかし、胃袋の小さい日本人はこれ一品で事足ります。 

 しかし、前菜扱いのピッツァはがっかりするほど不味いのです。旅行先のそれは、こげこげで苦かったりベチャついていたりしてひどいものでした。ローマでは食べたかどうかも記憶すらありません。(これはあくまで私の舌の見解ですが・・・)

 こんなお店しか行けなかった私が不運だったのか、イタリアに本当に美味しいピッツアがあるのか判りませんが、テレビでこれが本場の味だ!と、イタリアグルメ番組でさも美味そうな顔をするタレントさん、本当ですかァ?

 意外だったのは、私が赴任していたサウジアラビアにあるピッツア専門店、アメリカのチェーン店ですが、これが美味しいのです。 トッピングはトマトとスライスオニオンとチーズだけの冷凍ものですが、 目の前の窯で焼き上げてくれます。 値段もグー、一枚160円(当時5リヤル)で手頃です。 焼き上がりの熱々を食べる、これが美味しい理由かもしれません。

 そのうちに店の主人と仲良くなって、 昨晩の夕食で食べ残した魚(はた)のバタ焼きをフレークにして、バジルを刻みスライスオリーブを加えて持って行き、お店の従来品の上にトッピングしてもらいました。なかなかの味でした。そこで5枚ほど追加して焼いてもらいました。 家では冷凍したそれを一週間後にオーブントースターで焼き直しましたが、目を閉じて食べるとどんな料理か判別に苦しむような味でした。 やはり、お店の熱々にかぎりますよ。

 それ以後、コーン、ハムやサラミ、マッシュルーム、オリーブなど、いろいろなトッピングを持ち込んで試してみました。 どんな味になるのか焼き上がるのをワクワクしながら待っていました。。 それがお店の新メニューになった?時、「これは俺のトッピングのパクリだろ」というと、、お店の主人は黙ったまま1枚サービスしてくれました。

 日本でも、自分の好きなトッピングを持参して、それを焼いてくれるお店があるとよいですね。

  

 最近、青山のイタリア料理店でピッツァをオーダーしました。贅をこらしたトッピングが乗っています。 モッツァレラチーズ、エビ、パブリカ、 オリーブの実 バジル 、パイシートに塗ったニンニクの隠し味の香りも食欲をそそります。美味い!薄手のパイシートですからデカイヤツを全部食べてしまいました。

 周囲のお客さんのほとんどがピッツァを頬張っています。女性客が多いですねえ。ダイエットを気にしないのでしょうか。 でも、美味しいものの誘惑には負けますよ。 お楽しみください。

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