悪口を言うヤツの悪口を言ってやろ
悪口には人を傷つけるものから同じ言葉でもそうでもないものがあります。馬鹿ね貴方は、おばかさん、ば~か、までは えへへ ですみますが、バッキャロ~テメエ! バカッ! になると人は怒り出してしまいます。なぜ悪口には動物に喩える事が多いのでしょうか。ウマ、シカ、ロバ、ブタ イヌ、サル いずれも人間に役立つ動物たちです。そのような動物達に容貌体型や動作が似ているから蔑むのでしょうか。このパンダヤローといっても誰も怒りませんが。
植物を悪口にする場合もありますね。 オタンコナス、ドテカボチャ ダイコン(足)アオビョウタンなど人の栄養となる野菜が悪口のもとにされるのは気の毒です。ゴキブリやヘビ、ゲジゲジの類が悪口に置き換わるのは分かります。でも、我々がすぐ口にするのは日頃よく目にする動植物の類ぐらいです。どうも日本人が言う悪口は上品すぎるのではないでしょうか。
このように日本では喧嘩になってもたいした罵詈雑言がないので、すぐに言葉に詰まってしまってポカリと手が出てしまうのでしょう。江戸時代の長屋の熊サンや八ッアンもいつもおかみさんにがみがみ言い負かされています。どうもクチでは勝てないのでその鬱憤晴らしに喧嘩っ早いのだと思います。(これは私の個人的な見解です)
外国では人に対する罵詈雑言のたぐいは山ほどあります。 中国では喧嘩はまず「このスッポン野郎、くされ卵」から始まって相手の非をなじる口げんかが延々と続くそうです。これは喧嘩相手に言うのではなく周りの人に聞かせて、いかに自分が正しいかをアッピールするものですから先に手をだした方が負けです。皆の支持を得られません。大義名分がものを言うわけですね。
アラブでは相手の悪口を詩に書いて送り届けます。言われた相手も知恵を絞って美辞麗句?で悪口を書き連ねた詩で返答します。優雅ですねえ。やりとりするうちに何で喧嘩になったのか忘れてしまうでしょう。
英語では罵詈雑言がどれ位あるでしょうか、私が記憶しているものも相当あります。かつてのニューヨークの地下鉄の落書きのほとんどがそんな類の言葉です。カナダの首相がファッキング・バスタード!(これは公表されているのであえて書きますが)と暴言をはいて物議をかもしたこともありました。 ハリウッド映画の中でも言い寄ってきた男に主役のきれいな女優さんが聞くに堪えない汚いスラングを使っていました。日本語の字幕では「アンタ、もう家に帰って寝たらどう?」となっていましたけれども・・・英語の直訳はちょっとここでは書けませんね。
イタリア旅行中にタクシーの運転手が相手にこぶしを振り上げて怒鳴っていました。これは旅行中に喧嘩になったら使えるぞと忘れないうちにカタカナで手帳に書きとめておきました。日本に帰ってから知り合いのイタリアの人(それも女性)にこれはどんな意味?ときいたところ、 顔を赤くして「そんなコトバは二度と使ってはいけません!」と怒られました。きっと、下品極まりない言葉だったのでしょう。 未だその意味はわからないままです。
最近、北朝鮮が韓国のイ・ミョンバク大統領にむかってネズミに喩えた罵詈雑言をテレビで流しています。世の中には途轍もない悪口がこんなにもあったものだとビックリしました。
相手をカッとさせると何が起こるかわからないご時世です。 だから、私が言う悪口は昔のはやり歌の
「ばーか、かーば、チンドンや お前のカーチャンでべそ~」
「いつもいじめるお返しや、大きな声で言うたろか、おべんとつけて何処行くの~」
あるいは今は死語となっている「あんぽんたん」ぐらいにとどめておきます。
注)
あんぽんたんは、「阿呆」と「だらすけ」のが複合語の「あほだら」「あほんだら」が、転じた言葉で、 江戸時代から使われていました。 TVでは政治評論家の三宅久之さんが「ポンすけ」とも言って いました。
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