いくら伸ばしても犬の尻尾は曲がっている-実際に見たアラブの格言
イスラム世界では犬は嫌われています。ここ、サウディアラビアでは猫はともかくも、犬を飼うアラブの家庭を見た事がありません。 もっとも、遊牧民のベドウィンはヒツジの放牧のために飼ってはいますが、可哀相にどうも差別されているようです。ベドウィンのテントに招かれた時も、大声で追い払われた薄汚れたワン公はテントの脇でじっとうずくまったままでした。
犬好きの私が近づくと「触ってはならない」と注意されました。犬は不浄のものだからという理由でした。彼らも触った後はかならず、水あるいは砂で身を清めるのだそうです。
いくら伸ばしても犬の尻尾は曲がっている
アラブの格言にあるように、犬は根性曲がりで下等な動物と見なされているようですね。 現にイラクのジャーナリストは「犬(卑劣漢め」!と叫び、アメリカのブッシュ大統領(当時)に靴を投げつけました。 逆に、いやな権力者には、
犬のような奴でも、ご機嫌いかがと挨拶せよ
とへりくだれと格言でいわれています。 日本では人間の忠実な友といわれる犬もまったく形無しですねえ。
こんな事だからこの社会に無視されたワン公たちは砂漠のあちこちに野犬の群れとなってたむろしています。 かれこれ20頭は居るでしょう。 中にはかならずリーダー格がいます。そばを車で通るとリーダーを先頭に吠えながら猛然と追いかけてきます。 どの程度のスピードか試したところ時速70kmでようやく振り切る事ができました。
犬を吠えさせろ、そうすればついてくる
なるほど、格言どおりですね。
1990年代になると野犬の群れは私が住んでいたサウディアラビア東部にあるアル・カフジの町の中でも見られるようになりました。ところが、駆除しようと警官が鉄砲を持ち出すと不思議と姿が消えてしまうのです。
彼らのお目当てはゴミ箱(ドラム缶)に群がって餌をあさる猫どもです。 狩りを目撃しました。1匹が上手から猫を威嚇します。すると猫は当然反対側に逃げるわけです。すると、そこの物陰に隠れていたもう1匹が見事捕らえてしまいました。 まるで、テレビで見るアフリカのサバンナのライオンの狩りのようでした。 この連携プレーには唖然としましたよ。
このように不浄とされる犬ですが、飼うこと自体は禁止されていません。日本人従業員でも犬を飼う人もいます。 ただ、ここには獣医さんがいないので、ここから400kmも離れた欧米人の多く住むダンマンの町まで行かねばならないので大変だ。と、その人は話していました。 また、表に繋いでおくと、アラブの子供達に石をぶつけられるので、部屋の中で飼うより仕方ありません。
ある日本人の奥さんは日本から連れてきたポメラニアン犬を散歩に連れて行ったところ、それを見たアラブ人たちは「あの人は変わった猫を連れて歩いている」と、うわさしていました。
「これは犬なんですよ」と教えても、なかなか信じてもらえなかったそうです。
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