わが愛犬ロミィの記

 愛犬ロミィが家に来たのは1982年のことでした。 きっかけは知人のシェトランド・シープドッグがあまりにも可愛かったので、私たち夫婦も飼ってみたくなったからです。早速、近所のペットショップに行ってみました。 当時、この種はブームだったので、雌1匹しかいません。毛並みもあまり良いとは思いませんでした。 それでもつぶらな目を見ていると可愛くなって育てる事にしました。


    

 私の家で犬を飼うのはこれで2度目、 最初はゴローという雑種でしたから次ということでロミィ、次の犬の名前も勝手にナナ、ハッティ、クーときめてしまいました。

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 部屋で飼うためにロミィは基本的なしつけを何とか覚えましたが、この犬、散歩が大嫌いなのです。一緒に歩こうとしないで早く帰ろうと先に先にといってしまいます。それに首輪が大嫌い。気が向かないとクビをふってスルリと抜けて一目散に家に帰ってしまうのです。 そして、門の前で座って待っています。

 じつは、子犬の時に歩かせ過ぎたことが原因かもしれません。当時私がメタボになりかけで、ウォーキングは少なくても6~8キロをこなしていましたから、これに比べ、小型犬ロミィはせいぜい4キロ、それを過ぎると座り込んでテコでも動きません。 仕方なく肩にかついで帰りますが、通りすがりの若い娘さんが、ハアハアいっているロミィを指さして「かわいそー!」 それでも私はめげずにウォーキングに連れ出します。 それだから、彼女は散歩が大嫌いになってある時に首輪を外して逃げ出すことを憶えたようです。

 私が酔っ払って帰宅すると真っ先に出迎えてくれるのがロミィ、当然のことながら妻とは口げんかが始まります。するとロミィは吠えながらクルクル回ったり、脚にしがみ付いたりしてなだめ役です。これは牧羊犬であるシェトランド・シープドッグの習性なのだそうです。

画像 ロミィの特技は英語をしゃべることです。お客がくると私は、

  「ロミィ!英語で 1 は?」 
  「One!

 教え込むまで苦労しましたが来客は大笑いです。考えて見るとロミィの故郷はイギリスですね。英語の発音が良いのは当たり前かも知れません。

 次のステップの「Can!」は失敗しました。

    

 それから12年、私が海外勤務の時に東京の妻から電話がかかってきました。ロミィが死んだという知らせでした。休暇の折には真っ先に玄関に出迎えてくれた彼女、もう会えないのかと思うと寂しい気持ちで一杯でした。

 私が東京に帰任してからは我が家では次のペットを飼う気持ちにはなりませんでした。それほどロミィは家族に愛されていたのです。

 ある時、銀座のお店でシェトランド・シープドッグのぬいぐるみを見つけました。途端ロミィの思い出が頭を過ぎり即座に買い求めました。 家に戻り袋から取り出した時、妻の喜びもひとしおでした。

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 以来、吠えもしないし、お下の世話もしないですむ二代目ロミィは、大分汚れてはいますが、我が家の居間のスツールの上に座っています。

 もう次の飼い犬の名前、ナナ、ハッティ、クーは必要ないようです。

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