彼女の悪口を言う男がいたら、その男がその娘を愛していると思えー実際に見たアラブの格言
私たちはよく人前で言いますね。彼女はまったく気が利かない・・・私の愚妻は・・・あいつは天然ボケだよ・・・とか。しかし、彼女を見下したり悪口を言っているわけではありません。本当は愛し合っている恋人や小まめに家事をこなしてくれている愛妻をあえてそう表現するのです。 謙遜という言葉に乗っかった男の見栄と照れ隠しなのですよ。
えへへアメリカ人などは「私の愛する美しい人」を平気で表現していますねえ、人前ではけして彼女をおとしめるような発言はしないようです。もっとも、一日に何回も I love you を言わないと即, 離婚されるお国柄かもしれません。
「彼女の悪口を言う男がいたら、その男がその娘を愛していると思え」
これはエジプトの格言だそうです。東は東、西は西と習慣が違うなかで、そのはざまの中東でなんと日本人男性をほっとさせるような言い回しがあったとは・・・
私の知人のエジプト人たちのの奥さんは、どの人もしっかりとした性格だと思います。格言どおりを鵜呑みにして大丈夫なのでしょうか?
ある日、エジプトのお医者さんのお宅に招かれました。私はこういう席の話題にするために、日頃、会話や文献で拾ったアラブの格言を忘れないうちにノートに書きとめています。 だから、この格言について裏づけをとるために聞いて見ました。 彼はその格言がエジプトにあることをを認めたうえで、
「そんな悪口を言って彼女に知れたら破局だよ!」 と両手をひろげて弁解していました。 他のお客の男たちも同意見でした。
日本では? という質問には、世間一般では謙虚な気持ちをあらわすために彼女を悪く言うこともあるが、私はお前さんたちと同じ考えだ、と答えておきました。
(注:この会話が交わされていた場所は彼らや私が勤務していたサウジアラビアです。イスラムの厳しい戒律を守っているここの一般社会では女性はベールで顔を隠して人前に出ません。 ごく親しい間柄でも、身内の女性の話題はしません。サウジ人のお宅に招かれても、小さい女の子はともかくも、成人女性は人前に姿を現しません)
愛している人をあえて悪く言う男の照れ隠しがエジプトでも日本でも同じようだとわかって、話はさらに盛り上がりました。
昔、日本では招いたお客に対する主人の口上では、愛妻が一生懸命作った料理ですら、
「このあばら家には何もございませんが、次の間に愚妻の作った粗飯を用意いたしております。お口に合いませんでしょうが、どうぞ召し上がりください」 (直訳の英語ですから凄い言い回しになりました)
と、あえて物事を悪く言うのが普通だったという話を披露しました。
それじゃあ、そんな食事は食えないとお客は帰ってしまうよ, 怒った奥さんは二度と料理を作らないと、げらげら笑っている男たちのところに彼の奥さんがお茶を運んできました。(奥さんはフツーの服装です)
「何がそんなに楽しいの?」
「シ~ッ!・・・・」
男達、一斉に黙り込んでしまいました。
やれやれ、「彼女の悪口を言う男がいたら、その男がその娘を愛していると思え」という格言はエジプトでは何ら実効性がないものだったのですねえ。
そうすると、世界中の女性から袋叩きにあうのは日本の男どもだけなのでしょうか。
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