女房が隣人と喧嘩している間に亭主は女房と仲直りー実際に見たアラブの格言
これは世界中どこにでもあることですね、ことさらの説明をする必要はないでしょう。自分にむけられた非難が他に転嫁できるのですから、そういう時には積極的に奥さんの応援をしましょう。 次の話はアラビアで起ったことです。私の喧嘩相手のA氏がある人と喧嘩している時、私はA氏に肩入れをしました。すると・・・ サウジアラビア赴任中、ある日の会議で私はアラブ人のA部長の怠慢な仕事ぶりを槍玉に上げました。これは普段、誰もがそう思っていた事だったので他の部長達からも反論がなく、彼に対し改善を促す結論となりました。ところが、あとになって、友人からA部長が私のことをひどく恨んでいて私の悪口を言いふらしていることを聞きました。 当然、私と彼は不仲になって、その後の会議の席上ではそっぽをむいて口もききませんでした。 その後、政府の役人との会議があって、私もA部長も出席した時のことです。話がこじれてA部長がお役人からいわれのない非難を浴びました。二人は激しい口論となりました。私も会社側の代表ですから徹底的にA部長の弁護をしました。怒ったお役人はボールペンを机にたたきつけて出ていってしまいました。 「困ったことになった。これではこのプロジェクトの認可が下りない」 事態を収拾するために、普段の仲の悪さを棚上げした私とA部長は、あれこれ根回しをした末にその件はようやく円満解決しました。 その後、私は彼のオフィスに行く機会があったので、お茶を飲みながら打ち解けたところを見計らって、私を恨んでいるとのうわさを聞いたが、とたずねました。彼はそのことをもう忘れてくれ、もう済んだことだ、ただ、あなたが大勢の前で私の恥を非難して私の名誉を傷つけたからだ。今度からはそういう事は私に直接いってほしい・・と笑顔を見せて言いました。 それから我々二人はあの政府の役人の悪口を散々言い合って、さっぱりした気分で帰りました。 なるほど、 「女房が隣人と喧嘩をしている間に亭主は女房と仲直り」 のアラブの格言どおりですね。 別の格言に曰く、 「相手を憎んでも和解の余地を残しておけ」 と、ありますから私とすんなり和解したA部長は、役者が一枚上だったかもしれません。 反面、こんな格言もあります。 「親しくとも敵になる可能性は残しておけ」 結局、砂漠の中では自分しか頼りにならないのでしょうか。