アラビア湾の熱帯魚
アラビアの海で釣りをしていると、いろいろな外道がかかってきます。サメやダツといった大物から可憐な熱帯魚まで・・・。 夕方の食卓を飾ろうとタイとかアジを一生懸命に釣っている時にかかってしまう邪魔な奴!腹が立ちますね。
サメなどは釣り上げてから、板切れでぶん殴ってやりますが、華麗な熱帯魚たちは可哀相なのですぐ海に放してやります。 だが、自然の掟は厳しい・・・。 海面にたむろするダツにパックンされてしまうのです。体長が30~40cmもある、むらさき色に黄色のストライブの「アラビアヤッコ」 または「セダカヤッコ」 アラビアでは 「アンフーズ」 と呼ばれています。ついでに学名も書いておきましょう。
スズキ目キンチャクダイ科 学名:Pomacanthus maculosus (Forskel)
なにかギリシャの哲学者みたいな名前ですね。顔つきもそんな感じです。
この魚は海面から4~5メートル下にたむろしていますから、海底近い棚にいるアジよりも先に針がかりしてしまうのです。 ハリス1・5号のアジさびき(6~8本の釣り針が付いている)では切られてしまいます。かといって、さびき仕掛けはアラビアではなかなか手に入りませんので、アジの釣果が落ちても特注のオオアジ用の4号さびき(針:せいご12号)を使います。
アッ!アッ! 意に反して、また、むらさき色の大群が釣れ上がってきました。まいったな、持って帰っても猫の餌にもなりません。
また来たよ、お願いだ! もう釣れないでくれえ!
釣れたそばから海に返してやりましたが、子供に見せてやろうと一匹を持ち帰りました。
初めはおもちゃにしていましたが、 飽きてくると 「おさしみにして~」
「このおさかなは毒かもしれないし、色から見てもまずいと思うよ。クロダイさんにしましょう」 と、勝手な理由をつけて社宅の庭の隅に 「この魚のお墓を作ってあげて」 と言いました。
「パパ、また、あのオサカナをつってきてえ~」
「・・・・・・・・・・・」
中東勤務で家族と暮らしていた時のことでした。
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最近、インターネットで驚くべきことがわかりました。
楽天市場を開いたところ、「アラビアン・エンジェル・フィッシュ・・・」という画面が目に飛び込んできました。
そこにはアラビアでは無価値で釣り人に嫌われているあの「アラビアヤッコ」の写真が掲載されていました。
価格:15,800円 !エエエッ! おもわず、ためいきが出てしまいました。
全部、海にすてちゃったー
なにか、福沢諭吉さんを何回も海の中に突き落としたような気がしました。
でも、熱帯魚を生きたまま日本に持って帰る術はありません。仕方ありませんネ。
まっ、いいか~
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私は釣った魚はこまめに写真に撮っておきました。次の写真は、アラビアで心ならずも釣れてしまった熱帯魚です。日本の海には生息しているのでしょうか?
熱帯魚は釣ってから時間が経つと、色がおちてしまいます。 生きていた時はもっと鮮やかです。
アラビアの海を潜ってみました。 いるいる!カラフルな熱帯魚の群れ、でも、釣り人のターゲットにはなりません。 そっとしておいて上げたいのですが・・・・掛かっちゃうんですよ。
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