アラビアに冬がやってきた!
一年のうちほとんどが40℃を越すサウジアラビア、ここは東部州のアラビア湾に面したカフジという町です。そこでは11月初めになると雷が鳴り出し、ポツリと雨が降り始めます。短い秋が終わり冬のシーズンがやってきました。気温はぐんぐんと下がり、一月には6℃になることもあります。もっとも、昼間は15℃ですから日本の3月、といった感じです。この期間はどしゃぶりの雨も降り、セーターやコートは勿論、部屋ではヒーターで暖をとらねばなりません。日本からコタツをもってきたのは正解でした。
1月初め、まだ、寒々とした砂漠、もうすぐ若草が芽生え花の息吹きが聞こえるでしょう。 遊牧民ベドウィンたちは羊を連れてここにテントをはり、春の訪れを待っています。
アラビアの冬、オリオン座が澄んだ夜空に輝いています。抜けるような満天の星、身体が宇宙にむかってすいこまれていくような錯覚を覚えるほどです。近くのモスクから寒空に朗々と響くアザーン(お祈り)の声と相俟って、幻想的な異次元の世界の虜になりました。
朝6時半、真赤な太陽がもっこりと東のアラビア湾から昇って来ます。「ホケキョ!ケキョ!」 んん? 聞きなれたすずめの声にまじって聞こえるのはウグイスでしょうか。 アラビアの朝は早い、オフィスは7時から始まります。会社のゲートには白い排気ガスを出した車の列が並びます。
昼になると職員たちは家に戻って食事です。 玄関の前に止めた車のエンジンルームは暖かです。それを狙って付近の野良ネコが何匹ももぐりこんできます。 食事を終えて出社する時には気をつけねばなりません。 不用意にエンジンをスタートさせると、ファンベルトでネコのしっぽを巻き込んでしまいます。 ベルトは切れてしまうし、尻尾をなくしたネコが可哀そうです。乗る前にタイヤを蹴飛ばしてネコを追い払うのがコツです。
夕方、鳥の大群が社宅のユーカリの樹に止まっています。朝、出勤時、地面のあちこちに凍えた鳥が落ちています。 初老のアラブ人が袋につめていました。食べるつもりなのでしょうか。 危険なので鳥に触らないよう通達がでました。鳥インフルエンザだったのかも知れません。
30年も前のことですがエイッ! エイッ! 鏡開きの日、子供たちの声がアラビアの朝の空に響いていました。日本人小学校の剣道の寒稽古です。中にはアラブ青年剣士やここの会社の日本人社員の有段者の姿も見えます。 日本人小学校の校長先生が指導員。汗をかいたあとは恒例のもちつきが行われ、おしるこがふるまわれます。 はるか遠い日本と同じ風景です。 (残念ながら、会社の石油利権が切れるとともに学校も閉鎖されました)写真は体育館での稽古風景
突然の雨、雷鳴とともに我が家の屋根を叩いています。 突風、家の前のユーカリの樹が傾いで小枝が折れて飛びます。この地の冬には珍しくない天候です。 ある時、雹が降りました。短い時間でしたが、砂漠が一面の雪景色に変わりました。でも、こんな広い雪原は日本にはないでしょう。
雨の日、水タンクローリーで街路樹に水をまいている人がいます。雨が降っているから、無意味じゃないか。しかし、契約した仕事ですから仕方ないですね。 雨上がり、道路の水溜りはなかなか引きません。車も泥んこ。社宅の屋根の防水がおろそかになっていますから、雨漏りする事もまれではありません。しかし、アラビアでは雨は「Good Weather」 乾いた砂漠にアッラーがもたらす恵みです。我慢しましょう。
霧、10メートル先が見えません。車を道の側に止めて晴れるのを待ちますがいつになったら・・・。危険を覚悟でライトをつけて走ります。道路の真ん中を走らねば、砂漠の砂だまりに突っ込んでしまいます。でもねえ、対向車も同じ考えですから・・・・。
一月も半ばになりました。砂漠のあちこちにテントが張られ、アラブ人たちはピクニック気分で週末を楽しみます。まだ底冷えするので私はホカロン持参で知人のテントを訪れ、羊の丸焼きのご馳走に預かりました。
砂漠の遊牧民のテントに家族で遊びに行きました。 北風が吹いているのではだ寒く、子供たちはセーターを着こんでいます。 でも、走り回っているうちに脱いでしまいました。 その日の気候は日本でいえば3月の末といった感じでした。
2月に入り 気温が上がってきました。最高気温は20℃を越えました。砂漠には名も知れぬ花が一斉に咲きはじめ、まるで一面が花柄じゅうたんです。蝶やバッタも飛び交っています。とんぼもいる!
わああ・・蠅が。目蓋、口や鼻、湿り気のある場所に襲いかかります。心ならずも何匹か食べてしまいました。大丈夫かな・・・。
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