カワハギはフグの仲間だって?
息子が釣りから帰ってきました。 なんとカワハギ25枚が今日の釣果です。それにおみやげなのかアサリもビニール袋に一杯あります。しかし、これはカワハギさまの食事のあまり物です。この魚は餌とり上手。餌のあさりも殻を剥いたばかりの新鮮でプリプリしたものでないと食いつきません。この魚の味覚は尖ったくちびるにあって、まず、餌を舐めて味をたしかめてから食いつくのだそうです。鮮度の悪いデレッとしたものは固い歯で引っ張ってから食べずに捨ててしまいます。魚信があっても舐めているのか食いついているのかその判断が難しいのです。
だから、釣り人にとってこのカワハギとの難しいやりとりがたまらなく楽しい。 しかも大漁とあっては頬がほころんで帰ってくるのも当然のことです。カワハギには「フグ目フグ亜目カワハギ科カワハギ属」とかなり長ったらしい学名がついています。 まいったな! フグの仲間なら毒を持っているんじゃないか? 魚類学者の末広恭雄博士の著書の中で、・・・「百品考という古書には、和名カワハギ、一名毒魚と記されているが実際は無毒である。しかし、からだの構造や内臓の形などにはフグに似た点がいくつかある」・・・。と記されています。まあ、安心して食べましょう。
カワハギ 体長:24cm
さて、この魚の調理は簡単です。尖った口と頭の上のとがった棘(第一背鰭)を庖丁で落とし、切り口からイッキに皮を剥きます。Tシャツを脱ぐみたいですよ。内臓を抜くときは、美味なキモ(肝臓)を壊さないで取り出してください。 煮ても焼いても、美味なカワハギ、獲りたてはやはり刺身ですね。フグ刺しみたいに大皿に薄切りして菊花盛りに並べ、ポン酢で頂きましょう。
美味い!!しかし、テレビのグルメ番組のタレントのような表情はしませんヨ。わざとらしい仕草をすればせっかくの味が落ちてしまいますから・・・。 ずるいぞ、ズズズイッと箸を入れて持っていくのは!
いやあ、絶品なのはその日から五日後に食べたカワハギの味噌漬け。 味噌にお酒とみりんをいれて練り、魚肉にこすりつけただけの代物ですが、焼いて香ばしく、淡白な白身はご飯のおかずよりも酒の肴ですかねえ。 熱燗がいいな。
ウマズラハギ
体長: 28cm
ずんぐりしたカワハギの中に、似たような細長い形の魚が混じっていました。これはウマズラハギです。 学名も「フグ目フグ亜目カワハギ科ウマズラハギ属」ですからカワハギの親類ですね。刺身はちょいと臭みがあるようですが、あまり気になりません。キモも美味です。スーパーなどで売っているカワハギ干物や燻製の原料はこいつだそうです。
昨今ニュースで騒がれている食品の偽装表示でしょうが、まずい魚ではなく、なかなか釣れないカワハギさまの影武者ですから私はためらわずに買っています。
ところで、私が仕事で行っていたアラビア湾(ペルシャ湾)にもカワハギがいるのです。
ある時、釣りに出て「外道」でカワハギが釣れました。 釣り仲間のアラブ人に「これはアラビア語で何という魚だ」と聞きますと。
アラビア湾(ペルシャ湾)のカワハギ
体長:20cm
「これはサマックだが、毒だから捨てなさい」 といかにも気味が悪いといった顔をしていましたよ。サマックとはアラビア語で「魚」の意味ですから彼はこの名は知らず、ましてや、マーケットにも並べられる魚でもなかったのでしょう。記念に持ち帰り写真を撮りました。勿論、そのカワハギ様は私の胃のなかにおさまってしまいましたがネ。
あとで文献を調べてみると、アラビア語でちゃんとありました。「Chelebiddow] チェレビデュウ というのでしょうか舌を噛み切りそうですね。 ちなみに、アフリカのスワヒリ語では「kikande] とありました。
こんな魚の名前、誰も「キカンデ」 おあとがよろしいようで・・・。
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