楽しきかな、果実酒のラベル作り

 


私が結婚し、永年住みなれた我が家から引っ越す事になりました。 私のものはガラクタばかりで、大半は捨ててゆくことにしました。




「これを持っていって」 母が手渡したのはひと瓶の梅酒です。1971年のことでした。
 
それから5年、戸棚の奥に忘れ去られたこの梅酒を、ふとしたことから見つけました。
しわくちゃな梅の実が入っているその瓶には、1964年とラベルが貼られていました。 東京オリンピックの年です。 そうすると、その時に遡ること、かれこれ12年です。 ふたを開けると、芳醇な香りが漂ってきます。 一くち、口に含みます。

う~む、いける!! そのときの私の表情はデブヤさんの「まいう~」どころではなかったかと思います。

これをきっかけとして、私の果実酒造りおたくが始まったわけです。 まあ、いろいろ造りましたねえ。 やはり、美味しいのは、梅酒、いちご酒。 あんず酒もグーです。 青しそ酒は緑色がきれいに出ます。 失敗作はざくろ酒、何か整髪料を飲んでいるようでした。


画像そのうちにこれらの果実酒をウイスキーなどの空き瓶に入れ、ラベルを貼るようになりました。凝りましたよ、デザインやネーミングに・・・。

 口当たりがよいので、飲みすぎて後で後悔しないように、その酒のラベルにはReflection( 反省の意味)の名をつけ、当時のコマーシャルの反省猿(一代目次郎)を切り抜いて貼り付けました。酒造元はDistillated by Royal Salute Co., Ltd. (深くお辞儀するの意) を 当時のチャチなワープロで打ち込み。瓶に貼り付け何本もならべて、悦に入ったものです。

 Early Morning Dew (夜明けの露)―カリン酒 とか、Yellow Rose in Texas(テキサスの黄色いバラ)―レモン酒など、今から考えると ロマンティックな名もつけましたね。

 健康に良いだろう、と薬用酒づくりにも手を染めました。原料はにんにく、干ししいたけ、しそ。それから、ちょっぴり唐辛子も加えました。

 出来上がりはご推察どおり、{GueeE~~~}。 

 我が家にくる友人にも他の果実酒とともに「身体に良いから」と奨めましたが・・・友情にヒビがはいりそうな悪い結果が出ました。でも、勿体ないので私だけで何年もかけて消化しました。 

 こういうわけでこの酒のラベルは、怪物的な意味をこめてDrankenstein (ドランケンシュタイン=フランケンシュタインと酔っ払いのもじり) 酒造元は Goblin Killers Co. (鬼殺し)としました。

 或る時、友人たちと我が家で手始めにと、果実酒を一杯飲っていましたが、酒造りのうんちくをかたむける私に友人は

「でも、この酒のラベルの名は平凡すぎはしないか?」
My House と書かれたラベルを指して問いかけました。

「いや、これには別の意味があるんだよ」
 友人は一口飲んで、

「 ん・・・・」
「どんな味がする」
 と私。

「オレンジ酒か、これは」
「そうだ、だから My House- オレンチ、俺ん家

 周囲は一瞬しらけムードになってしまいました。 面白~いオヤジギャグのネーミングと自己満足していましたが、こりゃ!駄目だ。

 あれから何年たつでしょうか、私がもう果実酒造りをやめたのは・・・。スーパーなどにはもっと美味しい果実酒が並んでますからね。

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