クリスマスの町ードイツ・ローテンブルグ
クリスマスが近づく頃、イルミネーションで飾られる
クリスマスが近づく頃、町はイルミネーションで飾られる。ふと、ドイツのロマンティック街道を車で旅行した時を思い出す。 25年も前のことだ。フランクフルトからレンタカーで街道を南下し、城壁に囲まれたローテンブルグについた。
中世の面影を深く残す町、ローテンブルグ。この町の由来はドイツの古い言葉のローテン、「木を切る」という意味である。
時のヨーロッパの宗教改革の波はこの町にもなだれ込んできた。 いわゆる400年ほど前の三十年戦争である。プロテスタントのこの町はカトリック側のテリー将軍に包囲され、あえなく降伏した。将軍は、町の誰ががワイン3.25リットルを飲み干したら、ローテンブルグの町を焼き払わないと約束、義を見てせざるは勇無きなりと元市長であったヌッシュが一気に飲み干し、町を救ったという。
マクルト広場の古い市庁舎の仕掛け時計には、この逸話をもとに定刻の11時から15時まで1時間ごとに二つの窓から、将軍と盃をもったこの元市長の人形があらわれる。
市長の盃を傾ける仕草の人形劇が始まると、周囲の見物人から歓声があがる。
ローテンブルグはクリスマスの町である。 毎年、クリスマス当日の4週間前から始まる市には70万人もの観光客が訪れるという。
ヘレン通りにあるケーテ・ヴォールファールトという店は一年中クリスマス用品を売っている。
(巻頭の品川のプリンツヒェン ガルテンはその支店であった。今は独立し東京の銀座と鎌倉にも店を構えている。 商品はケーテ・ヴォールファールトから買い付けいるから、店内の雰囲気はドイツのそれと同じである)
私がローテンブルグを訪れたのは8月だ。季節外れのクリスマス用品の店、まだ早いなとも思いつつ、売り場の木工細工のサンタクロースや兵隊人形など、あれも気に入った、これも可愛いと、手当たり次第にかごに入れた。
カウンターのキャッシャーが驚いた。なぜ、こんなに沢山買うのか、こんなお客は見たことがない、という意味のドイツ語を言っているのだろうか、なるほど、はるかに予算をオーバーした額だ。あわてて、大半を陳列棚にもどした。今度はその店員は、にこやかに笑って、「ダンケ・シェーン」と送り出してくれた。 商品は貴方だけのものではない、皆のものだというドイツの合理的なやり方かも知れない。 こちらも思わず笑みで返した。
大分少なくなってしまったが25年前のローテンブルグの人形たちも、当時のケーテ・ヴォールファールトの袋から取り出され、居間の定位置に飾られた。
落下傘のサンタクロースは今でも私のお気に入りだ
ケーテ・ヴォールファールトのビニール袋
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