沙漠の国で刺身を食べたい! 家族総出のキス釣りだ
駐在員の現地生活(アラビアの釣り)
「パパ!お刺身が食べたいよお」現地に来てまもない息子がおねだりします。
「だけど、ここのお魚屋さんにはお刺身は売っていないだろ」
実際、私の勤務地、ここサウディアラビア東海岸にあるカフジという町では、魚屋がないので海岸の漁師から買うか、ここから、90キロ離れたクウェイトのファハヒールの魚市場に国境を越えて買いに行くしかありません。このイスラムの地では生の魚を食べる習慣がありませんから、刺身にするように、鮮度を保つような生き締めとか、生け簀に入れて置くような処置をした魚があるわけはないのです。氷詰めは遠くに運ぶ場合を除いてはまったくしておりません。魚市場ではハタやタイ、ヒラアジが店頭に並んでいても、時折、水をバシャバシャかけて、見た目をよくしているだけです。
それでも、私は日本人、どうしても刺身や寿司を食べたい。次の休暇まで待っていられるかい! しょうゆとわさびがあれば十分だ、アラビア湾(ペルシャ湾)にはごまんと魚がいるぞ。と、いうわけでおっとり刀、いや釣竿をかかえて家族総出で、青いアラビアの海辺に駆けつけたわけです。

これじゃあ日本ではダボハゼも釣れないよ。と、お思いの方々、次をご覧いただきたいと思います。
ここカフジ海岸は浅瀬で、200メートル先も3~4メートルの水深しかなく、海底は陸上の沙漠がそのまま延長したような何もない砂地が続いています。潮が満ちてくると魚たちは餌となる漂流物の多い波打ち際に回遊してくるのです。そこが狙い目、だから、ポイントは岸から5~10メートル、子供でも釣れる距離です。釣の経験の無い妻や子供たちに まず、リールの扱い方を教えます。4メートル位しか仕掛けが飛びません。まあ、良しとしましょう。
満潮前3時間、そろそろくるぞ、と思った矢先、子供の竿が弓なりになりました。切れた!やはり、ハリスが細すぎました。この海岸では、40~50センチものクロダイ(南洋チヌか?)や現地ではソベイティとよばれるタイの一種が釣れます。その大魚が波打ち際からたった4メートルの距離の子供の竿の仕掛けにかかったのです。
キスは家族にまかせて、3.6メートルの投げ竿にdaiwa3000のリール、道糸は8号、せいご針:14号、ハリス: シーガー4号、これに大きめのエビの切り身が餌です。ポイントは10メートル。砂地に突き刺して置き竿にし、魚信を待ちます。この間を利用して、家族の釣針に餌をつけて回ります。どういうわけか、アラビアの魚は餌取りがうまいですねえ。


暑い日は陽射しを避けてのんびりと釣り三昧
家族も拍手でこたえてくれました。これで、今夜のおかずは刺身だぞ!
ソベイティ

この日は約2時間でキスが約40匹、ソベイティ1匹のほか、中型のクロダイ1匹の豊漁でした。
アラビアのキス:沖縄のホシギスに近い

クロダイは日本のものとは、チョットちがっています。 海岸近くを群れをなして回遊してくるので、すぐキスの仕掛けにかかってしまいます。 体長は20センチから45センチまで。引きが強いですから、ハリスを切られないように騙し騙し取り込みます。
子供には無理ですね。すぐに糸を切られ悔しがっていました。

子供たちは山盛りの料理をあっというまに平らげてしまい、釣りにまた行こうと約束させられてしまいました。

アラビアでは食材を自分で調達しなければなりません。とくに、日本食品はしょうゆ、みそなどは送られてきますが、生の素材を探すのは大変です。 家族のみならず、駐在員の皆さんで助け合ってきました。
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