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でっかいぞ、あらびあのコチは!

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   アラビア湾の浜辺を散歩していると波打ち際にいるコチが水中で砂煙をあげて逃げてゆくのが見えます。日本でコチは高級の料理です。こんな美味しい魚がここにいる、釣って食べずにいられるか!そんな思いで釣りと料理に挑戦してみました。サウジアラビアのアラビア湾(ペルシャ湾)に面したカフジで勤務していた時の事です。  アラブ人はコチを「ワハラ」と言っています。名前がついているのに魚市場ではおめにかかったことはありません。コチは正面から見ると何やらもの悲しげな表情をしています。砂漠の遊牧民のベドウィンのじい様にもこんな顔が多いから多分ワハラという人の名前をこの魚に付けたのかもつけたのかもしてません。  さて、コチを釣るにはルアーかいかの切り身を餌としてしゃくりながら手元までリールを巻きながら生きて泳いでいるように見せなくてはなりません。仕事を終えた夕方、釣り竿を抱えて海岸にゆきました。きた!30メートルの沖であたりがありました。でかい頭を左右に振ってコチが釣れると一日の疲れも吹っ飛んでしまいます。きょうの釣果は3匹、いずれも45センチのまあまあのサイズでした。(ちなみに私が釣った最大のサイズは76cm、最初は丸太を引っかけたのかと思いましたよ) 学名 :  Platycephatus indicus 英語名 : Indian Flat Fish アラブ名: Wahara  ニコニコ顔で独身宿舎に戻り魚をさばくことになりますが、これもまた大変です。日本人食堂のコックさんにシロートなんかには無理だよと言われながら下ろし方を習いました。彼の言う通り苦労に苦労を重ねなんとか三枚におろし、包丁さばきに失敗した魚肉はテンプラの材料に、あとは慎重に包丁を入れ薄切にしました。出来たぞ!青磁器もどきの大皿にもっともらしく菊花造りにならべ、まずは眼で楽しみました。  なにせ3匹もあるので一人で食べるのはもったいないと、隣の部屋の住人に声をかけます。彼が部屋に入るなり「わあ、すげえー」と驚嘆の声をあげれば包丁人は得意満面のドヤ顔になります。二人で大皿の薄造りを右と左からずずうい~と箸を入れぽんずと七味唐辛子で賞味します。東京では高くておいそれと食べられない。あ~あ、家族にも食べさせてやりたいと次のてんぷらを賞味しながら、すっかり里心がついてしまった二人はしんみりとした気分になってしまいました。 その

秀吉の大軍に開城した小田原城を訪ねて

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  小田原城は明治の初めに城内の建築物はほとんど取り壊されたが、1960年(昭和35年)天守が再建された。 だが、鉄筋コンクリート製で当時の姿を再現したものではない。 1971年と1997年(昭和46年、平成9年)には常盤木門(ときわぎもん)と銅門(あかがねもん) 2009年(平成21年)には馬出門を復元、2016年(平成28年)になって、天守の耐震工事と修復が完了した。 外観は天守が聳える古城の佇まいだが中は資料館となっている。  小田原城は文亀元年(1501年)北条早雲が大森藤頼から奪い、その後北条氏五代に渡る居城として上杉謙信や武田信玄との防戦を経て戦国の世に君臨した。 しかし、1590年(天正18年)天下統一の旗印をかかげる豊臣秀吉が数十万の大軍を率い隠居の北条氏政と当主の氏直の小田原城を包囲。 いわゆる小田原合戦である。 北条方は和議か抗戦か延々と議論を重ねたがなかなか決まらず三か月も経ってようやく開城と決まった。 いわゆる 「小田原評定」 の古事となっている。 天守の展望台からは秀吉が築いた一夜城の 石垣山 が望見される。 築城には日数が相当かかったろうが周囲の樹々に遮られて見えない。 城の完成とともにその目隠しの樹々を一斉に切り倒したのだから、小田原方は城が一夜にして出現したと思うのは当然だったろう。 秀吉はここに妻女や茶人をよびよせ、毎晩のように宴会を催したというから城中はさらに驚愕したのだろう。 秀吉の「泣くまで待とうホトトギス・・・」の戦法である。 北条氏没落後は大久保、阿部、稲葉の各氏が城主に、さらに一度は改易された大久保氏が再び入封され明治にいたっている。 東海道の要箱根の関所は小田原藩大久保氏が幕府からあずかったものだ。 箱根関所の開閉は明け六ツから暮れ六ツ時(06:00~18:00)だったから、関所を挟む小田原宿と三島宿は旅人たちで多いに潤ったことだろう。 関所は「 入り鉄砲に出女」 を取り締まったが箱根の関所は出女だけが厳しい取り締まりを受けたという。 もちろん裏山から行き来する関所破りは見つかれば死罪に処せられた。 江戸の旅人たちが行き来した旧東海道、 箱根の杉並木 を歩いてみた。 今はスニーカーだが昔はワラジ。 でも足に伝わる土の柔らかさは歩行をこころ良く身体にひびいてくる。 元箱根に着いた・・・そろそろ昼飯時だな・・・。