目方で勝負!アラビアの釣りコンペ
かつて、私はサウジアラビアの東部州のカフジという町の石油会社に駐在していました。砂漠の国といっても、目の前には青いアラビア湾(ペルシャ湾)、そこには多数の魚が生息しています。世の中には釣りを趣味とする人はどこにでもいますが、この会社にもおきまりの釣りクラブがあり毎年2回暑さが遠のく4月と11月にコンペが行われていました。 ルールは次のとおりです。 1.参加者は2本のラインのみ海中に投入することができる。付け針の数は制限なし。 2.スペアーの釣り仕掛けはそばにおくことはできる。それは、かならず1本のラインを海中から引き上げた後使用 できる。 3.釣具には籠、網の類は認めない。かならず、釣り針を使用すること。 4.つり餌は各自が持参すること、いかなる種類も問わない。ただし、魚は刻んでおくこと。 5.試合は審判員の合図で開始、午後5時、合図と共に参加者は釣具を片付ける。 6.獲物は水、氷 異物を除去し審判員に提出する。大きく傷ついた魚は異物として除外する。 7.勝敗は釣った魚の総重量できめる。 8.獲物は試合のあと参加者全員に公平に分配される。 9.審判員はルールに違反した者を失格とする権限を持つ。 等々・・・。 1ページにぎっしりとアラビア語と英語で書かれています。 参加者はあの手この手で勝とうとして船の出航前に港内でこっそり釣ったり、魚を買ってきたりしますから審判員は大変です。試合前に各人のクーラーを開けたり、計量の際も氷やおもりを魚の口に押し込んむ奴がいないか、いちいち調べねばなりません。また、ルールに違反して2本以上のラインが海に投入されていないか試合中も目が離せません。ルール表を手に、もし違反を見つけた場合は厳重な注意します。今までのコンペでは失格者はありませんでしたが、相当激しい口論も随所に見られました。日本ではこんな事はありませんね。 釣りクラブのメンバーは120人 予選、準決勝を勝ち抜いてきた10名がこのコンペに参加できます。クラブの日本人は20名、この釣り天狗たちがいつも賞を独占してしまったので彼らからクレームがつけられ、予選は日本人をまとめて行うようになりました。その代わり2名の参加枠がもらえるのです。 船(タグボート)は釣りのポイントに到着、コンペが始まりました。一向に魚信がありません。みな大物をねらって仕掛けは大仰なものを使って