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5月, 2006の投稿を表示しています

モナリザは日本の団体客に微笑んでくれるのか

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 何年か前でしたか、パリに立ち寄った時、またルーブル美術館に行きました。勿論、ダ・ヴィンチのモナリザをもう一度見るためでした。私と妻は混雑をさけ、ゆっくり鑑賞しようと、朝一番に入館しました。   モナリザはいつものように微笑んでいます。 館内の人影もまばらで、右側からも左側からも飽きもせず見ることが出来ました。 いささか疲れて前のベンチで休んでいました。ほどなく、団体客がきて遠くから見ていたモナリザの微笑は、人影に隠れ見えなくなってしまいました。 すぐにべつの団体がきます。次に日本人の団体がやってきました。やはり人気があるんだな、そう思って見ていました。  ガイドさんは長々と説明しています。何人かはがやがやと私語を交わしているので、彼は大きな声で「聞こえますか!」といいました。  すると、周囲から「シッ!」とたしなめの声が聞こえます。  ガイドさんはなおも、ながながとしゃべっています。すると、次に待っていた欧米の団体から 一斉にブーイングが沸き起こりました。あわてて立ち去ろうとした日本人団体客の数人がこともあろうに、絵を撮ろうとカメラのフラッシュをたいたのです。  係員が飛んできて、いきなり、モナリザを照らしていた照明のスィッチを切ってしまったのです。微笑は暗闇に消えました。 その係員(女性)はガイドにむかって、指をつきつけながら怒っています。多分、フラッシュを使うなと注意書きがあるのに!といっているのでしょうか。そういう、勝手な人々にはモナリザは見る権利がないと照明を消したようです。  さあ、怒ったのは待っていた次の団体客、こぶしを振り上げて口々に日本人を罵っています。  10分ぐらい経ったでしょうか、また、照明がつきました。絵の前には大分,列ができてしまいました。この絵の鑑賞ができなくてスキップした先ほどの団体も戻ってきました。  私たちも、ベンチから立ち上がり、もう一度、鑑賞の列に加わりました。しかし、絵の中のモナリザの目とあった時、彼女の微笑がやけに皮肉っぽく見えたのは気のせいでしょうか。  欧米の団体のガイドさんは簡潔な説明で、あとの時間は絵の鑑賞に費やしています。多分、キリスト教文化の中に育った彼らは レオナルド・ダ・ヴィンチが何者か、モナリザはどうして描かれたかはもう頭の中にはいっているからなのでしょうね。  日本のガイドさんは初歩の知識から事細かに説

沙漠の冒険ドライブー遊牧民(ベドウィン)のテントを訪ねてー

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   クウェイト国境に近いサウジアラビアの東海岸。その沙漠には12月になると黒いテントがあちらこちらに見かけるようになる。1月になると白いテントが混じり始め、それは日を追って増えてくる。前者は沙漠にすむベドウィンとよばれる遊牧の羊飼い、後者は都市部にすむ人々がキャンプをするところである。    短い冬がアラビアに訪れる頃、乾いた沙漠にも雨は降り始め、水にうるおった大地から草や花が芽生えてくる。この草を求め遊牧民たちは羊を連れてあちらこちらから移動してくる。 一方、町に住む人々も森林浴ならぬ砂漠浴をかねて、テントを張り、日ごろの窮屈な生活から逃れ、リフレッシュするのだ。    私たちは、代々鷹狩をつかさどる部族であるマリ族のテントに招かれた。彼等のテントは私たちが住んでいる海岸沿いの町から50キロの内陸の沙漠の中に入ったところだ。  沙漠に不慣れな私たちのために案内人をつけてくれるというので、この機会にと日本人家族3家族と日本人小学校の先生たちをふくめ、20人が参加することになった。  沙漠道をアラブ人の案内人の4DWが先導する。その車に続き、その轍のあとをフツーの車が5台続く。   なにせ、沙漠の走行に不慣れだからスタックする車が続出。その度に皆でエイやと押し出し3時間もかけてようやく彼等のテントにたどり着く事が出来た。残念ながらその時にはお目当ての鷹狩は終わっており、目隠しの鷹が疲れ果てて木の台にとまっているだけだった。  私の車から、待ち兼ねた子供たちがわらわらと降り立った。あいにくとご主人が仕事のため参加できないために、ご一緒した2人の奥さんたちと子供2人、それにわれわれ家族の4人をふくめ8人が大型のアメ車シボレーにぎゅうぎゅう詰になって乗ってきたわけだ。    それを見ていた白い髯の族長が私にテントの中の上席に座れと手招きをする。なぜ私だけがこんな良い待遇を受けるのだろうと、どぎまぎしていると、通訳してくれた案内人は、オマエさん若いのに3人の奥さんと子供4人とはたいした奴だと話している、とウィンクして説明してくれた。   そういえば、アラビア語の端はしに賞賛の声がまじるのが私にもおぼろげながらわかる。誤解だと言い訳する暇もなく、あちこちで肩を抱かれて、頬にキスをされる始末、アラブ式挨拶には慣れてはいるが、こんなに沢山のキスははじめだ。    カーペットの上に