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情熱のスペイン食彩― マドリッドの忘れられない味,うなぎのオリーブ・オイル漬け

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   スペイン旅行から帰っても夢がさめやらぬ日々が続きます。あそこで、何を食べた、飲んだ、という満足感が訪れた土地の風景と共にスペインの情熱となって、身体に焼きついてしまったのでしょうか?  ラマンチャ地方では、ガスパッチョという野菜のスープ。 レストランではこのスープが洒落た容器に入って出てきました。 焼き物の色がとても気に入り、欲しくなったのですが、まあ、マドリッドで買えばいいや、とそこでは求めませんでした。残念、このスープ皿はここの特産品で、この土地でしか売っておらず、買いそびれてしまい、今でも悔やんでいます。 マドリッドで食べたウナギのオリーブ漬が食べたい。 だが、日本ではまず無理な話です。 蒲焼用の奴は、でか過ぎますよね。そこで、はた、と気が付いたのは「シラス」です。 これで作ってみようと、考えました。 釜揚げシラス  1パック (大きめのシラスをスーパーで選んで下さい) オリーブ油    シラスの上まで、ドップリとかけて下さい (このオイルはあとで、スパゲッティなどの調味油に使えます) にんにく     1 片  ベイリーフ    1 枚 鷹のつめ     1 本(半分でピリ辛) 黒こしょうの粒 10 粒 バジル      適当にふりかける パセリ      刻み 塩はいりません (しらすの塩味で十分です)  まず、小さなソースパンにシラスを入れ、その上からオリーブ油をひたひたになる位たっぷりと入れます。 鷹のつめを適当に切って入れ、こしょうの粒もベイリーフも入れてしまいます。 なぜ、オリーブ油を熱してからシラスを入れないか、というと、そんなことしたらいっぺんに沸騰して吹きこぼれてしまいます。 ガスレンジはベタベタに汚れてしまいました。おかげで妻の頭の中も沸騰してしまい、参りましたよ。  閑話休題、ガスレンジを中火にして沸騰しはじめたら弱火で5分 (まあ、適当に)これに、すりおろしたにんにくを入れます。 それからバジルを加え、出来上がり~い!  熱いうちに フランスパンに乗せパセリを散らして、ふうふう吹きながら食べます。何と!スペインのバルで食べたウナギの幼魚のオリーブ油漬そのもの、(っぽい)です。 これぞ究極の男の食彩。 にんにくの香ばしい香りとかりかりの胡椒のつぶの爽やかな辛味がシラスの味とからまって、口一杯に広がります。(なにかグルメ探訪記事に似て

絵に添えられた森繁久彌氏の叙情詩 ーある画家と森繁氏の友情の記録ー

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   今、私の手元に一冊の画集があります。洋画家の岡田旭峰の絵画活動の作品集です。ページをめくってみると、画伯の絵には森繁久彌氏の詩が添えられています。 私はその画集の詩を眼で追いながら、自宅の壁にかかっている岡田画伯の一枚の絵を見入っています。       夜明けのシンフォニー(Symphony Of Dawn)6F(40.9 x 31.8)                                                  ふと見つけたる雲雀の巣               か細き卵てのひらに                 小さき命その中に動きいたり                     静もれる湖に親鳥の声しきりなり                         (森繁久彌)    ヨーロッパの森の深いたたずまい、メルヘンの世界の広がり。絵というよりもはや、壁に作られた次元を超えた窓。 風とせせらぎは 私を一年中楽しませてくれるのです。  小さな絵ですが、「窓」といっても過言ではないでしょう。毎朝、私の家の本物の窓に飛来するすずめのさえずりと相俟って、静まり返った絵の中から鳥の声すらも聞こえてくるような気がします。  「久彌君 君の詩がほしいのだよ」  1985年、岡田画伯がこの画集を出すにあたって、こう語ったと森繁氏は書かれています。 森繁氏は勝手な粗詩を書き連ねたと、謙遜しながらも 「絵は心が見えるーものだが、その美しい壮挙に私もそばに寄って参画させていただくのだ」 と、彼の素晴らしい叙情詩を画集の中の20数枚の絵に添えておられます。 いつかある日( One Day)4F      (33.4 x 24.3)     わが恋は終わりぬと     海にむかって駆けゆけり      そのとき海のささやきを聞く       その恋は終わらずと        砂浜にかけ戻りぬ        (森繁久彌)      私が岡田画伯のご自宅を訪れた時のことでした。アトリエの中には今描き上げたばかりのこの絵がイーゼルに置かれていました。まだ絵の具の匂いがプンプンとするこの作品を見て、私はこの絵の場所は辻堂海岸でしょう。と問いかけました。以前、画伯が居を構えていた神奈川県の辻堂を思い浮かべたからです。   画伯は「イメージだよ、キャンバスに向かうとそれが