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ヤヤッ!かにが縦に歩いている

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   長い海岸線が続くサウジアラビアのアル・カフジの町。夕方の海辺を散歩していると何百匹ものカニが群れを成して歩いています。私が近づくと一斉に縦に走り出します。まるで都市マラソンのスタートのようです。私たちは幼い時からカニは横に歩くのを見て育ってきました。しかしこんな大群のカニが縦にあるくとは、まるでアラビアンナイトのような不思議な世界ですね。  40度を越す暑さのアラビアの昼間はさすがに一匹も姿は見えません。しかし長い浜辺にはいくつもの砂の塔が作られています。ここが彼らのねぐらなのです。このカニ、前から見ると可愛いのですが、その甲羅には髑髏を思わせる紋様が刻まれています。だから人呼んでガイコツガニ。私はこの不気味なカニに恐怖をおぼえさせられた事がありました。  ある日の夕方、私は仕事を終えて夕食の食卓の一品を飾ろうとキス釣りに興じていました。その日はさっぱり当たりがなく夕暮れになってようやく一匹、二匹と釣れはじめました。あたりが薄暗くなったころ、波打ち際に引き寄せた獲物に何者かが襲いかかりました。執拗にしがみついているそれはあのカニでした。身を屈めそれをふるい落とそうとした私の眼にうつったのは砂浜の無防備の私の裸足を狙ってキシキシと音を立てて偲びよる幾百のカニの大群でした。  いささか恐怖を感じた私は棒切れを拾って何匹かをたたきつぶしました。すると予期せぬ事がおこりました。たたきつぶしたカニになんとその仲間が寄ってたかってしゃぶりつき、ハサミで肉を切り取り食べ始めたのです。カニの死骸は見るまにばらばらになって消滅してゆきました。  薄暗い中にうごめくガイコツガニの大群にはこの世のあらゆる悪行が収斂して、それがこの暗闇の中に一挙に吹きだし襲いかかってくるように見えました。私はそのおぞましさに背筋が寒くなり一目散に逃げ出しました。 たすけて~え! はやくパトカー来て~エ

駒場公園の旧前田家本邸ー国の重要文化財を見学して

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 「東京文化財ウィーク」は東京都教育委員会が毎年文化の日に開催するイベントで今年は10月26日ー11月4日まで開催されました。都内の文化材を一斉に公開する事業と文化財を巡る講座の事業の中で、駒場公園内の旧前田家本邸を訪ねてみました。旧前田家本邸は加賀藩主の16代当主,、前田利為侯爵(1885-1942)の住居だった英国風の洋館とそれに付随する外国からの賓客に日本文化を伝える和館や迎賓館として昭和3年から5年にかけて完成しました。 太平洋戦争後はアメリカ駐留軍に接収されましたが、解除後は国と東京都の分割所有となり和館は目黒区、洋館は東京都が管理し現在敷地は東京都目黒区立駒場公園となっています。  公・候・伯・士・男、の爵位の華族の人々たちが暮らしていた邸宅で現在そのままの形で残されているものは珍しく旧前田本邸は貴重な文化財として平成25年に国の重要文化財(建築物)に指定されました。  11月4日、今日は和館の見学からはじめました。これにはガイドさんの説明なしではわかりません。時間に合わせて到着しました。すでに20人もの見学者が集まっています。  和館は主に外国からの賓客のおもてなしの為に建てられた二階建でその様式は日本文化を継承しています。裏側の庭園側から見ると銀閣寺を連想します。なるほど、この棟や茶室庭園の設計者には京都の建築に造詣の深い人々が関わっていたからです。  一階は主室と次の間は大名家の面影を残す広大な構えです。杉戸の絵は美しい四季図が描かれており、以前の本郷邸で使用されていたものが移されました。二階は数寄屋風の意匠をこらした軽やかな造りとなっています。  和館の左側にある茶室は裏千家の代表的茶室の「又隠(ゆういん)」を模したものです。今日は一般の茶会に貸し出しているために見学できませんでした。  庭園は山水の造りで四季の趣を凝らしています。賓客が一年の間いつ来ても楽しめるようにしています。                          和室の見学のあと洋館に向かいます。左に歩を進めると英国に来たかと思われる車寄せのある尖塔がそびえる重厚な建物が目に飛び込んできます。ここでもガイドさんの説明が必要です。  洋館なのに靴を脱いで広々とした玄関を上がると、深緑の邪紋石の柱、チーク材の梁、シャンデリアが眼につきます。  中でも興味を引いたのは階段下のイングル