日本で食べたアラビアの渡り蟹の味
寒い日が続きます。今日は寄せ鍋にするかな、そう思いながらスーパーに買い出しに行きました。鶏肉、白菜、椎茸、牡蠣 一通りの材料を籠に入れました。オッ、渡り蟹がある。アラビアの地に赴任中、よく食べたものです。日本のは美味いだろうな、アラビアのそれはスカスカで、あまり食べる部分がありませんでした。 その晩は早速 土鍋で賞味しました。ンンッ・・・・だしはでているものの、食べる肉の部分がほとんどありません。 「あなた、そのカニはバーレン産よ」妻に言われてなるほど、ラップに表示された原産地名にはそう書かれていました。バーレンはアラビア湾(ペルシャ湾)にあります。 まさか、遠い中東から日本まで泳いで渡ってくるわけはないですね。 赴任地のサウジアラビアの海岸を散歩中、浅瀬で二人の男が漁をしていました。 上がってきた彼らに何を獲っているのか尋ねると、かに漁だと答えが返ってきました。籠の中にひしめいているのは渡り蟹です。アラビア語では「ゴブゴブ」なるほど、泡をぶつぶつふいているそれはその名の通りです。 学名 :Portunus pelagicus (Linne) アラビア名 :Gobgob 和名(類似種):わたりがに ♀ 1980年代に撮影 サウジアラビア東部 カフジの海岸 私も同僚と語らって蟹漁を試みる事としました。 彼らの真似をして一人が下手から海底の砂を足でかき回し獲物を上手に追い込みます。そこで待っていた一人が網で一網打尽、童心に帰った我々は時がたつのを忘れるほど楽しいひと時でした。 その晩、皆が集まってゆで上げた渡り蟹で会食です。だが、食べるところはあまりありません。甲羅を外して 四つに割り、なけなしの身にマヨネーズをつけ歯でガブリとそぎ取ります。鋏みや脚に身はついていません。蟹は余るほどありますから、それでポイ! ただ、味噌汁のだしとしては最高でした。 東京で久しぶりに再会したアラビア湾(バーレン産)の渡り蟹、寄せ鍋のだしにしかなりませんでしたが、懐かしいアラビアのかに漁を思い出しました。 暇人のつぶやき: スーパで買ったアラビアの渡り蟹は一匹半でした。 もったいないので鋏みを割ってみましたが、肉の部分は食べるほどありませんでした。日本では渡り蟹は食卓に上がる機会はあまりありません。現地では只でいくらでも手に入るのに・・・現地語で渡り蟹は「