五島列島と長崎の教会群を訪ねてーその1 下五島のキリスト教会
長崎の教会群とキリスト教関連遺産は現在ユネスコの世界文化遺産に申請中である。14項目の遺産申請のうちには8か所のカトリック教会がふくまれている。元治2年(1865)3月に浦上の潜伏キリシタンたちが大浦天主堂に名乗り出た。今年は教会側の「信徒発見」潜伏キリシタン側の「神父発見」から150年目に当たる。およそ400年のキリシタン禁教、弾圧、潜伏の後、明治6年(1873)になってようやく信仰が取り戻された。その後のキリシタンの子孫たちは新しい宣教者の指導の下、教会を建立し深い信仰を新たにしている。また明治以降もカトリックに復帰せずに先祖古来のキリストの教えを守り続けている人々は隠れキリシタンという。今回は巡礼を目的として五島列島を中心に長崎の人々の信仰の姿をみるため教会群を訪れた。 長崎県にはかれこれ130のキリスト教会があり、このうち五島列島には50もの教会が存在する。島内の教会群のうち3か所が世界文化遺産に申請中である。これを中心に散在する教会のいくつかを訪問した。 五島列島は、中通島、若松島、奈留島、久賀島、福江島の5島からなり、前者の二島を上五島、後者三島を下五島と呼ぶ。 永禄9年(1566)ポルトガル人のルイス・デ・アルメイダ神父によって、五島列島にキリスト教が伝わった。福江では領主の病気を治すなど、領主や人々の信用を得て、奥浦に最初の教会をたて、重臣や多くの人々に洗礼を授けた。アルメイダ神父は平戸、生月、度島、大村、島原、五島、天草、長崎の各地で宣教活動を行った。 この旅は下五島の福江島からはじまった。 下五島の教会―福江島・久賀島 8月21日:長崎港から、高速ジェットフォイル船で福江島に着く。 1.堂崎天主堂 明治6年(1873)、キリシタン禁教が解かれた後、明治12年(1879)にフランス人のマルマン神父によって小聖堂が建てられた。 明治41年(1908)に現在の煉瓦作りの聖堂が完成した。長崎の西坂で処刑された26聖人の一人である五島出身のヨハネ五島を祈念して、日本の26聖人殉教者に献堂されている教会である。ゴシック様式、内部