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箱根の美術館巡りーポーラ美術館

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 深緑の季節だがこのところ旅をしていない。コロナ禍が到来してから二年半もだ。一向に収まらないコロナ禍だが巣ごもりから解放されたい。そういう思いが募り5月半ばの深緑の箱根を訪れた。   もう旬のタケノコを賞味する時期はすぎてしまったが・・・  箱根には数々の美術館がある。今まで彫刻の森、ガラス彫刻、数年前は星の王子様ミュージアムを訪れた。久々の箱根、今回はポーラ美術館に決めた。   ここにはルノアール、モネ、ピカソ、藤田嗣二など内外の巨匠たちの作品が展示されている。   今回、目を引いたのは岸田劉生(1891-1929)の麗子座像(1919年の作品)だ。いままで、新聞、雑誌などで何回目にしただろう。この作品の評価は高いが麗子の顔が無表情で険しく可愛げがない。むしろ怖い感じだとの評論ばかりである。岸田劉生は麗子像を多数描いているがそのうちの一つなのだろうか・・・  この絵をみていると麗子の険しい目の奥に何かキラキラした潤いがあるのを発見した。  初めて見る「麗子」の絵画の生の表情、写真を撮ることは許可されているので、デジカメに収めてモニターを見るとその瞳の輝きは消えていた。なんども撮り直したが、やはり現れてこない。不思議な作者の表現力だ。写真はあきらめて作品を自分の眼でゆっくりと鑑賞することとした。横に並んでいるもう一枚の「麗子」デッサンにはその不思議なの目の輝きが感じられなかった。  外に出た。周囲の箱根の深緑の息吹を味わいたかったが、マスク越しでは感じられなかった。コロナが収まってから又来よう・・・そんな思いで美術館前のバス停に向かった。