アラビアの伝統的漁法
アラビア湾(ペルシャ湾)では今でこそ近代的な漁船や漁具が使用されていますが、沿岸ではまだ伝統的な籠や日本のすだてに似た定置網による漁法が行われてます。海岸沿いの道をドライブしていると、浅瀬に仕掛けられた木杭の柵があちこちに設置されています。沖合にポツンと見える白いウレタンフォームのブイは籠漁の一例を示すものです。 日本のすだて漁、私が少年のころ千葉の木更津や富津あたりには多くの竹の柵がみられました。その当時の漁師の漁船の主流であった和船に父たちと乗り込み、焼玉エンジンのポンポンいう音を聞きながらその柵に近づいて引き潮時を待ったものです。クロダイ、大きなスズキなど、少年の私は目を輝かせて獲ったものです。 なつかしさもあり、アラブのすだてを引き潮時に訪れてみました。アラブの漁民の家族たちなのでしょうか中には少年も混じっています。 挨拶をかわし見学させてもらう事にしました。 ここ、サウジアラビアのアラビア湾に面した東部州、アル・カフジの海は浅瀬が続いており、200メートル先でも水深は3~5メートルくらいです。 満潮になると、魚の群れは浮遊物の多い波打ち際に回遊してくるのです。引き潮時には海岸線はすっかり水は引いてしまいますから、柵の中取り残された獲物は簡単に獲れるというわけです。 この日はタイに似たソベイティ、やクロダイの収穫がありました。しかし、彼らのお目当ては当地でハムールとよばれている1メートルもの「 ハタ 」ですが残念ながら一匹もいませんでした。 体の黒いもんがある小さなタイ、エイ、コチなど沢山いましたが、これは食べないからという理由で捨て置かれています。商品価値のない魚は滿潮になれば他の魚の餌になるそうです。 一方、かご漁は沖合に設置されています。海に潜ってみると、陸上の砂漠の延長が海底にも延々と続いているまったく殺風景な海底が続きます。 そこには魚の姿はまったくなく、砂地をイモ貝は這いずり回っているだけです。 しかし、サンゴ礁、沈没船、海上の石油の構造施設やパイプライン沿いなど、障害物のある所には魚は群れています。そういう所に漁民は餌を入れたかごを沈めて置くのです。 一方、石油採掘事業者にとってはかご漁は頭痛の種です。海底ケーブルの切断や、縄が作業船のスクリューに絡まってしまう事故はあとを絶ちません。 漁業権は存在しないものの無断