投稿

4月, 2013の投稿を表示しています

小説 湾岸戦争―「男達の叙事詩」を読んでみて

イメージ
   私の経験した出来事が小説になった。勿論、私が主人公であるわけがないが、モデルとされる人物は端役としてあちこちに登場している。小説だからフィクションは当然だが、総体的に見てストーリーの流れは事実に基づいている。物語は1990年8月のイラクによるクウェイト侵攻をきっかけに起った湾岸戦争、中東の日系企業で働いている駐在員たちが否応なしに戦闘に巻き込まれてゆく伊吹正彦氏の企業小説である。   湾岸戦争 、当の昔に一般の人々に忘れられてしまった中東での出来事であろう。しかし、今年のアルジェリアの日本企業でも悲劇が同じようにくりかえされた。身動きが出来ない情勢の中で死を受け入れなければならなかった犠牲者の方々に心からお悔やみ申しあげる。湾岸戦争では日本人に死者こそ出なかったものの、一歩間違えればとんでもない事になっていたろう。  私は湾岸戦争の後に、本の題材のカフジ基地の復興にいち早く参加した。そこでは戦火で焼け焦げた会社の施設や町の建物を目の当たりにした。まだ残る地雷、不発弾、海上勤務の際の浮遊機雷の恐怖などに加えクウェイトの油田火災による深刻な大気汚染の中に身をさらさねばならなかった。 戦火がおさまって3ヶ月たっても道に転がっている腕時計や人形に仕込まれた爆弾(ブービートラップ)を拾って負傷した少女のニュース、町の食料倉庫の中に潜んでいた2人のイラク敗残兵が捕まったなど戦争の余波も残る不安な生活を余儀なくされた。  伊吹正彦氏が執筆した小説湾岸戦争―「男達の叙事詩」は企業小説でありながら、当時の国際情勢の中でイラクの人質となった日本人達とその救出、戦争勃発によって見舞われたロケット弾の雨、その中で取り残された48人の日本人職員の脱出、家族との絆、会社との葛藤などをことごとく吐露した冒険小説であるかもしれない。 本を読みながらそこに登場する色々な男たち、見覚えのある沙漠の風景の描写とあいまって私の脳裏にノスタルジックな感情が沸き起こってしまった。  ただ、この種の小説に見られるハッピーな結末と違って「男たちの叙事詩」には戦後の疲れ果てた企業戦士たちが病を得てこの世から去ってゆく有様が書かれている。  これは実際にあった話で、物語では仮名が使われているが私にはその人物が誰々であるか推測できる。本を読み終えて、しばらくは涙目となったのは長時間の小さな活字を読み続けたという理

富士山遊歩道ウォーキングー裾野市

イメージ
  富士山と言っても頂上まで登山をするわけではない。もっとも3月のこの季節では無理というもの。 そこで、手軽に富士を見ながらウォーキングを楽しむ事とした。もちろん、パーティは中高年グループ。今回は静岡県裾野市の健康増進企画の主催によるもので、(株)フジエクスプレス「お気軽くらぶ」のバス旅行。補助金も出ているから料金が昼食つきで1500円と格安。申し込んだ人からは金額が間違っているのでは?と問い合わせがあったそうだ。ウェイティングリストには数十人が居るそうだ。  満席のバスは東京を出発、東名高速の渋滞も無く「美しい富士山」の健康文化都市静岡県裾野市に着いた。  中央公園の探訪。住宅街に囲まれているが、中の日本庭園はよく整備されている。入り口には18世紀の初めの萱葺農家がある。昭和48年には国の需要文化財に指定された。  園内を歩いてゆくと、程なく黄瀬川の五龍の滝にさしかかる。1万年前の富士山の噴火で形成された玄武溶岩で形成された滝で、県の重要文化財となっている。 高さはたった12メートルしかないが、黄瀬川の豊富な水量で雄大な姿を楽しませてくれる。 正面は本流の3条の雄滝、  あと2条は支流の雌滝なのだが、どこにあるんだ?中々見つからない。 人に教わってようやく右手と左手の木立の中に細々と見え隠れて流れていたのが見えた。自然を保護するのか、景観を楽しむのか・・・議論は分かれそうだが、私は周囲の立ち木を思い切って伐採し整備して、雌雄の滝をはっきりさせたいと思う。  裾野の工業団地、ここにはトヨタ自動車やヤクルトの企業が進出している。ここを抜けるとバスの両脇に富士の自然が目に入ってくる。 右手は陸上自衛隊の東富士演習場だ。  富士須山口登山歩道に付く、ここから、本日の目的の富士山遊歩道ウォーキング。A,B,Cコースがあるが、A B は物足りない距離。そこでガイドさんの薦めもあって、往復3キロメートルのCコースを選ぶ。・  富士山ビューポイント。見えて良し、雲あって良し富士の山だがあいにくと曇り空、どこに富士の姿があるのかわからない、やっと麓らしき所が・・・まっ、いいか、ここは裾野市だ、裾しか見えなくてもそれだけで良しとしよう。 今日は寒のもどり、オヤジギャグと相俟ってさぶ~う。  森林の景色はまだ冬の面影のまま。 程なく緑の幕と花の色彩に彩られるであろう。 火山灰と落ち葉に